The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 25, 2018 Vol. 378 No. 4

アルツハイマー病による軽度の認知症に対するソラネズマブの試験
Trial of Solanezumab for Mild Dementia Due to Alzheimer’s Disease

L.S. Honig and Others

背景

アルツハイマー病は,アミロイドβ(Aβ)斑と神経原線維変化を特徴とする.ヒト化モノクローナル抗体ソラネズマブ(solanezumab)は,原線維アミロイドとして沈着する前の段階でシナプス内で毒性を引き起こすとされるペプチドである可溶性 Aβが脳から除去される量を増やすようデザインされた.

方 法

ミニメンタルステート検査(MMSE)のスコア(0~30 で,スコアが高いほど認知機能が良好であることを示す)が 20~26 と定義したアルツハイマー病による軽度の認知症を有し,フロルベタピルを用いた陽電子放射断層撮影(PET)または脳脊髄液中の Aβ1-42 測定でアミロイドの沈着を認める患者を対象に,二重盲検プラセボ対照第 3 相試験を行った.患者を,ソラネズマブ 400 mg を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,静脈内投与を 4 週ごとに 76 週間行った.アルツハイマー病評価尺度の 14 項目の認知機能下位尺度(ADAS-cog14)のスコア(0~90 で,スコアが高いほど認知機能障害が重度であることを示す)のベースラインから 80 週までの変化量を主要評価項目とした.

結 果

2,129 例を登録し,うち 1,057 例をソラネズマブ群に,1,072 例をプラセボ群に割り付けた.80 週の時点で,ADAS-cog14 スコアのベースラインからの平均変化量は,ソラネズマブ群が 6.65,プラセボ群が 7.44 であり,群間に有意差は認められなかった(差 -0.80,95%信頼区間 -1.73~0.14,P=0.10).事前に規定した階層的解析において主要評価項目に有意性が示されなかったため,副次的評価項目は記述的なものとみなし,有意性検定を行わずに報告する.MMSE スコアのベースラインからの変化量は,ソラネズマブ群が -3.17,プラセボ群が -3.66 であった.無作為化後に MRI 上の異常所見として,脳浮腫または髄液貯留が,ソラネズマブ群の 1 例とプラセボ群の 2 例に認められた.

結 論

軽度のアルツハイマー病患者において,ソラネズマブ 400 mg の 4 週ごとの投与は,認知機能低下に有意な影響を及ぼさなかった.(Eli Lilly 社から研究助成を受けた.EXPEDITION3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01900665)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 321 - 30. )