臨床試験デザインと臨床的意思決定における
革新的なオリジナルリサーチと、
斬新で大胆なアイデアを紹介する、
NEJM Groupによる新雑誌
NEJM Evidence

NEJM Evidence

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from Editors

Journal Information

ISSN
2766-5526
発行形態
オンライン版のみ
発行頻度
月刊

Aims and Scopes

臨床研究の数は増加の一途をたどっているものの、特に臨床実践に関連して、主張を確立したり検証したりするための基準はそれに追随していないのが現状です。

NEJM Evidence は、NEJM 前編集長の Jeffrey M. Drazen 氏を編集長に迎え、臨床試験のデザインと実施の背景にあるもの、臨床試験で得られたエビデンスの評価、最新の統計手法とデータタイプなどのテーマについて取り上げる新しいオンラインジャーナルです。

研究医や臨床医、臨床試験に携わる医療従事者に向けて、読者自身が臨床試験のデザインと実施の裏側にある複雑な意思決定や臨床試験で得られたエビデンスの質を評価できるように導き、エビデンスが臨床的意思決定に与える 影響を評価するコミュニティの構築を目指します。

NEJM Evidence

Contents

  • これまでの臨床所見を検証する
    オリジナルの研究報告、臨床試験、
    その他の臨床研究
    (集団疫学研究、ファースト・イン・
    ヒューマン試験、メタアナリシスなど)
  • 新しいエビデンスの
    臨床への導入促進を目的として
    研究結果を文脈に沿って説明する、
    スタンダードレビュー、
    システマティックレビュー
  • 臨床試験の長所と短所の理解を
    深めるための臨床試験方法の
    ケーススタディとレビュー
  • ジャーナルクラブの
    論文レビューシリーズ、
    モーニングレポート形式での
    症例提示
  • Trial by Fire:
    発表された臨床試験の関係者と、
    その臨床試験を批判する人との
    5分間のディスカッションを収録した
    ポッドキャスト
  • Stats, STAT!:
    統計レビューに基づいて
    統計的概念を説明する
    簡単なアニメーションビデオ

創刊に寄せたメッセージ

NEJM Evidence―臨床試験の
世界的な進歩を加速するメディア

東北大学大学院客員教授
(医学系研究科微生物学分野・
法学研究科公共政策大学院)

坪野 吉孝

NEJM Evidenceは、臨床試験にフォーカスしたNEJMの新しい姉妹誌です。2001年から2019年の長きにわたりNEJM編集長を務めたDr. Jeffrey M. Drazenが、新雑誌の編集長に就任しました。

NEJM Groupが臨床試験にフォーカスした新雑誌を創刊した背景には、臨床試験の方法論が近年急速に進歩していることがあります。たとえば、新型コロナウィルス感染症に対する複数の治療法の検討では、古典的なランダム化比較対照試験(RCT)でひとつずつ評価するのではなく、RCTの進化型であるプラットフォーム試験を採用しました。プラットフォーム試験では、ひとつの試験で複数の治療法を同時進行で評価して、無効・有害な治療法は早期に中止する一方、有望な治療法を新たに治療群に追加しながら試験を継続することで、多数の治療法の意義をきわめて短期間で明らかにしました。英国のRECOVERY試験やWHOのSOLIDARITY試験は、その代表です。

NEJM Evidenceの創刊号には、第1相から第3相までの臨床試験の原著論文に加えて、臨床試験のデータ安全性モニタリング委員会の歴史と機能、非劣性試験の非劣差マージンを解説する動画、過去の有名な臨床試験に参加した研究者の体験談など、さまざまな論説やコンテンツが掲載されています。

NEJM本誌に掲載される原著論文には、治療法や予防法の臨床試験に限らず、新しい疾患概念の発見、疾患の病態生理の解明、診断法の評価、危険因子や予後因子の同定など、さまざまな研究が含まれています。このため、重要な臨床試験の原著論文であるにもかかわらず、誌面が限られているため掲載を不受理とせざるを得ず、他の医学誌に流れて掲載されることも少なくなかったと推測します。こうした原著論文が、今後は他誌に流れず、NEJM Evidenceに掲載されるようになると予測しています。他誌のインパクトファクターを凌駕するのも、時間の問題でしょう。

日本の医師にとってNEJM Evidenceの意義は二点あります。第一に、急速に進化する臨床試験の最新の状況を、読者として学ぶ上で最良の情報源です。第二に、研究者として臨床試験の論文の投稿先を検討する際の、重要な選択肢となるでしょう。

編集長のDr. Drazenとは、NEJM編集長の時代に二度ほどお目にかかりお話を伺ったことがあります。既存の診療データベースを使用し統計的な補正を行う研究や、既存の論文をまとめるシステマティック・レビュー以上に、臨床医の現場の診療を通して産生されるプライマリ・エビデンスとしての臨床試験を、とても重視されていました。Dr. DrazenがリードするNEJM Evidenceが、世界の臨床試験の進歩に貢献し、無数の患者の生命を救う、最良のエビデンスを産み出すメディアに発展することを確信しています。