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November 13, 2025 Vol. 393 No. 19

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ショック状態にある重症患者に対する動脈カテーテル挿入の見合わせ
Deferring Arterial Catheterization in Critically Ill Patients with Shock

G. Muller and Others

背景

ショック患者に対しては,動脈カテーテルの使用が推奨されているが,非観血的血圧測定が代替として有効かは明らかでない.

方 法

多施設共同非盲検非劣性試験で,ショックを起こし,集中治療室(ICU)に入室後 24 時間以内の患者を,早期(無作為化後 4 時間以内)に動脈カテーテルを挿入する群(観血的戦略群)と,上腕カフを用いた自動血圧測定を行う群(非観血的戦略群)に無作為に割り付けた.非観血的戦略群で,事前に規定した安全性基準に該当した患者には,無作為化後 28 日よりあとに動脈カテーテル挿入を可能とした.主要転帰は 28 日の時点での全死因死亡とした(非劣性マージン 5 パーセントポイント).使用している血圧測定装置に関連するとくに注目すべき有害事象と,その装置の存在に関連する患者報告による疼痛または不快感を記録した.

結 果

1,010 例が無作為化され,解析対象は非観血的戦略群の 504 例と,観血的戦略群の 502 例であった.動脈カテーテルの挿入は,非観血的戦略群では 74 例(14.7%),観血的戦略群では 493 例(98.2%)に行われた.28 日以内の死亡は,非観血的戦略群では 173 例(34.3%),観血的戦略群では 185 例(36.9%)に発生した(補正リスク差 -3.2 パーセントポイント,95%信頼区間 -8.9~2.5,非劣性の P=0.006).per-protocol 解析の結果は 2 群で同様であった.血圧測定装置の存在に関連した疼痛または不快感が 1 日以上あった患者は,非観血的戦略群では 66 例(13.1%),観血的戦略群では 45 例(9.0%)であった.動脈カテーテルに関連する血腫または出血は,非観血的戦略群では 5 例(1.0%),観血的戦略群では 41 例(8.2%)に発現した.

結 論

ショック患者において,28 日の時点での全死因死亡に関する結果から,動脈カテーテルの早期挿入を行わない管理は,早期挿入に対して非劣性であることが示された.(フランス保健省から研究助成を受けた.CRICS-TRIGGERSEP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03680963)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1875 - 88. )