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November 13, 2025 Vol. 393 No. 19

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駆出率の低下を伴わない心筋梗塞後のβ遮断薬
Beta-Blockers after Myocardial Infarction without Reduced Ejection Fraction

B. Ibanez and Others

背景

現在のガイドラインでは,駆出率の低下を伴わない心筋梗塞後にはβ遮断薬を使用することを推奨しているが,これは,現在ルーチンに行われている再灌流や,侵襲的治療,完全血行再建,薬物療法が,標準治療となる前の試験に基づいている.

方 法

スペインとイタリアで非盲検無作為化試験を行い,急性心筋梗塞(ST 上昇型・非 ST 上昇型)を発症し,左室駆出率が 40%を超えている患者にβ遮断薬療法を行った場合の効果を,β遮断薬療法を行わなかった場合と比較評価した.主要転帰は,全死因死亡,再梗塞,心不全による入院の複合とした.

結 果

4,243 例がβ遮断薬療法を受ける群,4,262 例がβ遮断薬療法を受けない群に無作為に割り付けられた.除外後,主要解析の対象は 8,438 例であった.中央値 3.7 年の追跡期間中,主要転帰イベントは,β遮断薬群では 316 例(1,000 患者年あたり 22.5 件)に発生し,β遮断薬なし群では 307 例(1,000 患者年あたり 21.7 件)に発生した(ハザード比 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.89~1.22,P=0.63).全死因死亡はそれぞれ 161 例と 153 例に発生し(1,000 患者年あたり 11.2 件 対 10.5 件,ハザード比 1.06,95% CI 0.85~1.33),再梗塞は 143 例と 143 例に発生し(1,000 患者年あたり 10.2 件 対 10.1 件,ハザード比 1.01,95% CI 0.80~1.27),心不全による入院は 39 例と 44 例に発生した(1,000 患者年あたり 2.7 件 対 3.0 件,ハザード比 0.89,95% CI 0.58~1.38).安全性転帰に明らかな群間差は認められなかった.

結 論

心筋梗塞を発症し,侵襲的治療を受け,左室駆出率が 40%を超えていた患者において,退院後のβ遮断薬療法は,全死因死亡率,再梗塞の発生率,心不全による入院率のいずれにも影響を及ぼさないと思われた.(カルロス 3 世国立心血管研究センターほかから研究助成を受けた.REBOOT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03596385,EudraCT 登録番号 2017-002485-40)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1889 - 900. )