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November 13, 2025 Vol. 393 No. 19
心不全のない患者における心筋梗塞後のβ遮断薬
Beta-Blockers after Myocardial Infarction in Patients without Heart Failure
J. Munkhaugen and Others
心筋梗塞後のβ遮断薬療法を支持するエビデンスは,現在行われている冠動脈再灌流療法や二次予防戦略が導入される前に確立したものである.
デンマークとノルウェーで,盲検下で評価項目を評価する非盲検無作為化試験を行った.心筋梗塞を発症し,左室駆出率が 40%以上であった患者を,発症後 14 日以内に長期のβ遮断薬療法を開始する群と,β遮断薬療法を行わない群に,1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,全死因死亡または主要有害心血管イベント(新規の心筋梗塞,予定外の冠血行再建,脳梗塞,心不全,悪性心室性不整脈)の複合とした.
無作為化され,主要解析の対象となったのは 5,574 例であった.内訳はβ遮断薬群 2,783 例,β遮断薬なし群 2,791 例であった.追跡期間中央値 3.5 年(四分位範囲 2.2~4.6)の時点で,主要評価項目イベントはβ遮断薬群では 394 例(14.2%)に発生し,β遮断薬なし群では 454 例(16.3%)に発生していた(ハザード比 0.85,95%信頼区間 [CI] 0.75~0.98,P=0.03).全死因死亡は,β遮断薬群では 4.2%,β遮断薬なし群では 4.4%に発生し,心筋梗塞は,それぞれ 5.0%と 6.7%(ハザード比 0.73,95% CI 0.59~0.92)に発生し,予定外の冠血行再建は 3.9%と 3.9%に発生し,脳梗塞は 1.6%と 1.3%に発生し,心不全は 1.5%と 1.9%に発生し,悪性心室性不整脈は 0.5%と 0.6%に発生した.安全性転帰に,群間で明らかな差は観察されなかった.
心筋梗塞を発症し,左室駆出率が 40%以上であった患者において,β遮断薬療法を行った場合,死亡または主要有害心血管イベントのリスクは,β遮断薬療法を行わなかった場合よりも低かった.(ノルウェーの Health South-East 研究プログラムほかから研究助成を受けた.BETAMI–DANBLOCK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03646357,NCT03778554)







