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November 13, 2025 Vol. 393 No. 19

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未治療の進行トリプルネガティブ乳癌に対するサシツズマブ ゴビテカン
Sacituzumab Govitecan in Untreated, Advanced Triple-Negative Breast Cancer

J. Cortés and Others

背景

治療歴のない,切除不能または転移性の局所進行トリプルネガティブ乳癌の患者で,プログラム細胞死蛋白 1(PD-1)阻害薬またはプログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)阻害薬の適応がない場合は,治療選択肢が限られる.

方 法

国際共同第 3 相非盲検無作為化試験で,治療歴のない進行トリプルネガティブ乳癌を有し,PD-1 阻害薬・PD-L1 阻害薬の使用歴や併存疾患により,これらの阻害薬の適応がない患者を組み入れた.複合発現スコア(CPS;PD-L1 免疫染色陽性の腫瘍細胞,リンパ球,マクロファージの数を生存腫瘍細胞の総数で除して,100 を乗じた値)が 10 未満の PD-L1 陰性腫瘍,または CPS が 10 以上の PD-L1 陽性腫瘍のいずれかを有する患者を,サシツズマブ ゴビテカンを投与する群と,化学療法(パクリタキセル,ナノ粒子アルブミン結合 [nab]-パクリタキセル,ゲムシタビン+カルボプラチンのいずれか)を行う群に,1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,盲検下独立中央判定により評価した無増悪生存とした.副次的評価項目は,全生存,客観的奏効,奏効期間,安全性などとした.

結 果

558 例が無作為化された.無増悪生存期間の中央値は,サシツズマブ ゴビテカン群 9.7 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 8.1~11.1),化学療法群 6.9 ヵ月(95% CI 5.6~8.2)であった(病勢進行または死亡の層別化ハザード比 0.62,95% CI 0.50~0.77,P<0.001).客観的奏効割合は,サシツズマブ ゴビテカン群 48%(95% CI 42~54),化学療法群 46%(95% CI 40~52)であり,奏効期間中央値はそれぞれ 12.2 ヵ月(95% CI 9.7~13.8),7.2 ヵ月(95% CI 5.7~8.4)であった.グレード 3 以上の有害事象は,サシツズマブ ゴビテカン群では 66%に発現し(とくに頻度が高かったのは好中球減少症 [43%],下痢 [9%],白血球減少症 [7%]),化学療法群では 62%に発現した(同様に,好中球減少症 [41%],貧血 [16%],白血球減少症 [13%]).サシツズマブ ゴビテカンの中止にいたった有害事象の発現率は 4%,1 種類以上の化学療法薬の中止にいたった有害事象の発現率は 12%であった.

結 論

PD-1 阻害薬または PD-L1 阻害薬による治療の適応がない進行トリプルネガティブ乳癌患者のうち,サシツズマブ ゴビテカンを投与した患者では,化学療法を行った患者と比較して無増悪生存期間が有意に長かった.グレード 3 以上の有害事象の発現率はサシツズマブ ゴビテカン群と化学療法群とで同程度であったが,有害事象の頻度は高かった.(ギリアド・サイエンシズ社から研究助成を受けた.ASCENT-03 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05382299)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1912 - 25. )