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July 3, 1997 Vol. 337 No. 1

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コルチコステロイドの吸入投与と白内障のリスク
USE OF INHALED CORTICOSTEROIDS AND THE RISK OF CATARACTS

R.G. CUMMING, P. MITCHELL, AND S.R. LEEDER

背景

コルチコステロイドの全身投与は後部嚢下白内障発症の危険因子であるが,コルチコステロイド吸入と白内障との関連は明確でない.

方 法

われわれは,オーストラリア,シドニー近郊のブルーマウンテンズ都市部において,視力および一般的な眼科疾患に関する人口に基づく横断的試験を実施した.49~97 歳の 3,654 人を募集した;参加率は 82%であった.われわれは,現在または過去のコルチコステロイド(ベクロメタゾンまたはブデソニド)の吸入投与など,白内障の潜在的危険因子に関する質問書によって情報を収集した.被験者に関する情報を知らせずに,被験者の水晶体の写真を等級付けして,皮質部,核性および後部嚢下白内障の有無ならびに重症度を明らかにした.

結 果

被験者 370 人が,コルチコステロイドの吸入投与を報告し,この中で現在も使用しているのは 164 人,そして過去に使用したことがあるのは 206 人であった.これらの被験者の中で,年齢および性別に関して補正した後では,核性白内障(相対発生率,1.5;95%信頼区間,1.2~1.9)および後部嚢下白内障(相対発生率,1.9;95%信頼区間,1.3~2.8)は,コルチコステロイドを吸入投与しなかった被験者より発生率が高かったが,皮質部白内障の発生率は有意に高くはなかった(相対発生率,1.1;95%信頼区間,0.9~1.3).ベクロメタゾンの累積生涯投与量が多ければ,後部嚢下白内障のリスクは高くなった(傾向に関する p<0.001);最高発生率(27%)は,その生涯投与量が 2,000 mg 以上の被験者に認められた(相対発生率,5.5).コルチコステロイドの全身投与およびその他の可能性のある交絡因子について補正しても,その関係の程度にほとんど影響を及ぼさなかった.コルチコステロイドを全身投与したことがない被験者に分析を限定すると,後部嚢下白内障との関連はそれほど顕著でなくなったが,核性白内障では顕著であった.

結 論

コルチコステロイドの吸入投与は後部嚢下および核性白内障の発症に関連する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 8 - 14. )