September 18, 1997 Vol. 337 No. 12
ヒト免疫不全ウイルスに感染したウガンダ人成人における結核予防のための 3 種療法の臨床試験
A TRIAL OF THREE REGIMENS TO PREVENT TUBERCULOSIS IN UGANDAN ADULTS INFECTED WITH THE HUMAN IMMUNODEFICIENCY VIRUS
C.C. WHALEN AND OTHERS
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,結核の再活性化のリスクを大きく増加させる.結核への曝露が一般的な状況下で,3 つの予防治療レジメンの安全性と有効性を評価した.
ウガンダのカンパラで募集した HIV 感染成人 2,736 人において,無作為化プラセボ対照試験を行った.精製ツベルクリン(PPD)によるツベルクリン反応検査陽性の被験者(硬結部≧5 mm)を以下の 4 つのレジメンのいずれかに無作為に割付けた:プラセボを投与するレジメン(464 人),イソニアジドを毎日,6 ヵ月間投与するレジメン(536 人),イソニアジドとリファンピンを毎日,3 ヵ月間投与するレジメン(556 人),イソニアジド,リファンピン,ピラジナミドを毎日,3 ヵ月間投与するレジメン(462 人).アネルギー(PPD およびカンジダ抗原に対する反応として硬結部 0 mm)の被験者を,プラセボを投与するレジメン(323 人)と,イソニアジドを 6 ヵ月間投与するレジメン(395 人)に無作為に割り付けた.薬剤は毎月調剤し,被験者が自分で服用した.
PPD 陽性被験者の中で,予防的療法を行った 3 群の結核発生率はプラセボ群より低かった(p=0.002,log-rank 検定による).イソニアジド単独による結核の相対リスクは,プラセボと比較して 0.33(95%信頼区間,0.14~0.77);イソニアジドとリファンピンでは 0.40(0.18~0.86);イソニアジド,リファンピン,ピラジナミドでは 0.51(0.24~1.08)であった.アネルギーの被験者における結核の相対リスクは,イソニアジドでプラセボと比較して 0.83(95%信頼区間,0.34~2.04)であった.副作用は,多剤レジメン,とくにピラジナミドを含むレジメンでより多く認められた.生存に群間で差はなかったが,アネルギーの被験者では死亡率が PPD 陽性被験者よりも高かった.
イソニアジドの 6 ヵ月投与により,PPD 陽性 HIV 感染成人において結核に対する短期保護作用が得られる.イソニアジドとリファンピンを含む多剤レジメンも,3 ヵ月間の投与により結核のリスクを低下させる.