October 2, 1997 Vol. 337 No. 14
1995 年の米国における細菌性髄膜炎
BACTERIAL MENINGITIS IN THE UNITED STATES IN 1995
A. SCHUCHAT AND OTHERS
結合型ワクチンの導入前,インフルエンザ菌 b 型(Hib)は米国における細菌性髄膜炎の主因であり,髄膜炎は主に乳幼児の疾患であった.Hib 結合型ワクチンが乳児の定期予防接種として承認後 5 年の時点での,細菌性髄膜炎の疫学的特徴を記述する.
4 州 22 郡(総人口,1,000 万人以上)のすべての急性期病院の検査を請け負う微生物学研究所が 1995 年に行った,培養で確認された髄膜炎およびその他の侵襲性細菌疾患に関する人口ベースの能動的サーベイランスからデータを得た.発生率を算出し,1986 年の同様のサーベイランスのデータから算出した発生率と比較した.
調査地域における細菌性髄膜炎の 248 例に基づき,主な病原菌に関する 1995 年の髄膜炎発生率(10 万人当り)は,肺炎連鎖球菌,1.1;髄膜炎菌,0.6;B 群連鎖球菌,0.3;リステリア菌,0.2;インフルエンザ菌,0.2 であった.原因菌は,新生児では B 群連鎖球菌がもっとも多く,2~18 歳の小児では髄膜炎菌,成人では肺炎球菌が多かった.肺炎球菌髄膜炎は症例死亡率がもっとも高く(21%),症例の 36%がペニシリンに感受性を示さない菌によって引き起された.これらのデータから,1995 年に米国ではこれら五つの病原菌によって引き起された細菌性髄膜炎は 5,755 症例であったと推定し,1986 年の 12,920 症例と比較すると,55%の減少であった.細菌性髄膜炎患者の年齢の中央値は,1986 年の生後 15 ヵ月から,1995 年には 25 歳へと大きく増加しており,これは主に,インフルエンザ菌性髄膜炎の症例数が 94%減少したためである.
Hib 髄膜炎がワクチンにより減少したため,米国における細菌性髄膜炎は、いまや乳幼児の疾患というよりむしろ,成人の疾患である.