December 24, 1998 Vol. 339 No. 26
米国における HIV 感染成人のケア
THE CARE OF HIV-INFECTED ADULTS IN THE UNITED STATES
S.A. BOZZETTE AND OTHERS
米国におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症患者の医療を解明するために,われわれは,軍,刑務所,または救急部門施設以外の施設において1996 年の最初の 2 ヵ月間に米国本土において医療を受けている HIV 感染成人を無作為抽出した.28 の都市部で 145 の医療機関および 25 の田園地域で 51 の医療機関から医療を受けている患者の中から選択した患者 4,042 人の 76%にインタビューした.
1996 年の最初の 2 ヵ月間,HIV 感染成人推定 231,400 人(95%信頼区間,162,800~300,000 人)が医療を受けた.59%が米国防疫センターの症例定義に従った後天性免疫不全症候群で,91%では CD4+ 細胞数が 500/mm3 未満であった.11%は年齢 50 歳以上で,23%が女性,33%が黒人で,そして 49%が同性と性行為をしたことがある男性であった.46%は年間収入が 10,000 ドル未満で,68%は公的な健康保険に加入しているかまたは保険未加入で,そして 30%が大学病院で医療を受けていた.1996 年の最初の 2 ヵ月間に診察した患者の医療に関する推定年間直接支出は,51 億ドルであった;HIV 感染成人推定 335,000 人を少なくとも 6 ヵ月ごとの割合で診察した場合の支出は 67 億ドルで,患者 1 人/年では約 20,000 ドルとなる.
この全国調査では,医療を受けているほとんどの HIV 感染成人が重症であることが判明した.患者集団は男性,黒人,貧困層の比率が高かった.病名が診断され,または診断されていない多くの HIV 感染アメリカ人は,少なくとも 6 ヵ月ごとの医療すら受けていない.HIV 感染アメリカ人の総医療費は米国におけるすべての直接的な個人保健支出の 1%未満である.