October 21, 1999 Vol. 341 No. 17
特発性肺線維症の患者に対するインターフェロンγ-1b と低用量プレドニゾロンの長期治療に関する予備試験
A Preliminary Study of Long-Term Treatment with Interferon γ-1b and Low-Dose Prednisolone in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
R. ZIESCHE, E. HOFBAUER, K. WITTMANN, V. PETKOV, AND L.-H. BLOCK
特発性肺線維症の患者は,進行性の肺の瘢痕化が起り,一般的には症状発現後の 4~5 年以内に死亡する.経口グルココルチコイドによる治療は,多くの場合,無効である.今回,われわれは,抗線維化特性を有するインターフェロンγ-1b と経口グルココルチコイドの併用治療に対する非盲検の無作為試験を実施した.
グルココルチコイドまたは他の免疫抑制剤に反応しなかった特発性肺線維症の患者,18 例について検討を行った.9 例の患者には経口プレドニゾロン単剤による治療を 12 ヵ月間行い(1 日用量 7.5 mg,1 日用量は 25~50 mg まで増量可能であった),残りの 9 例にはインターフェロンγ-1b 200 μg(1 週間に 3 回皮下投与)とプレドニゾロン 7.5 mg(1 日 1 回投与)による併用治療を行った.
これらの患者の全例が本試験を完了した.肺機能は,プレドニゾロンの単剤投与群の 9 例のすべての患者で悪化した:すなわち,単剤投与群の平均の総肺気量は,試験開始時には予測標準値の 66±8%であったのが,試験 12 ヵ月目の時点には 62±6%に減少した.これに対して,インターフェロンγ-1b とプレドニゾロンの併用投与群では,総肺気量は増加した(試験開始時には予測標準値の 70±6%であったのが,試験 12 ヵ月目の時点には 79±12%に増加,2 群間の差について p < 0.001).安静時の動脈血酸素分圧(PaO2)は,インターフェロンγ-1b とプレドニゾロンの併用投与群では,試験開始時には 65±9 mmHg であったのが 12 ヵ月目の時点には 76±8 mmHg に上昇した.これに対して,プレドニゾロンの単剤投与群では,65±6 mmHg から 62±4 mmHg に低下した(2 群間の試験開始時からの変化量の差について p < 0.001);また,最大労作時の動脈血酸素分圧は,併用治療群では 55±6 mmHg から 65±8 mmHg に上昇したが,プレドニゾロンの単剤治療群では 55±6 mmHg から 52±5 mmHg に低下した(p < 0.001).インターフェロンγ-1b の発熱,悪寒,および筋肉痛などの副作用は,試験開始後 9~12 週目までの期間内に軽快した.
今回の予備試験では,12 ヵ月間のインターフェロンγ-1b とプレドニゾロンの併用治療は,グルココチコイドの単剤には反応しなかった特発性肺線維症の患者の症状が大きく改善されることと関連していた.