September 23, 1999 Vol. 341 No. 13
心不全患者における中枢性睡眠時無呼吸の発症機序
A Mechanism of Central Sleep Apnea in Patients with Heart Failure
S. JAVAHERI
呼吸は,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の上昇によって促進され,低下によって抑制される負のフィードバック機構によって管理されている.覚醒時には二酸化炭素に対する感受性の増大によって PaCO2 が狭い範囲に維持されるようになっているが,ある種の人々では,睡眠中の大きな過換気反応によって,この値が無呼吸閾値以下に低下し,その結果として中枢性無呼吸になる可能性がある.そこで,心不全患者では,二酸化炭素に対する感受性の増大が,中枢性睡眠時無呼吸の発症に関与していることがあるという仮説の検証を行った.
今回の前向き研究には,左室の収縮機能障害による安定心不全の治療患者 20 例が組み入れられた.これらの患者の 10 例には中枢性睡眠時無呼吸が存在し,残りの 10 例には認められなかった.患者には,睡眠ポリグラフィー検査,および二酸化炭素に対する換気反応の試験を行った.
中枢性睡眠時無呼吸の基準に合致していた患者は,1 時間当りの中枢性睡眠時無呼吸のエピソードが,中枢性睡眠時無呼吸ではなかった患者よりも有意に多かった(平均 [±SD] エピソード数,35±24 回/時 対 0.5±1.0 回/時).また,睡眠時無呼吸の患者は,二酸化炭素に対する換気反応も中枢性睡眠時無呼吸ではなかった患者よりも有意に高く(1 分間当りの換気量,5.1±3.1 L/mmHg 対 2.1±1.0 L/mmHg,p=0.007),換気反応と睡眠中の 1 時間当りの無呼吸および呼吸低下のエピソード数には,有意な正の相関が認められた(r=0.6,p=0.01).
二酸化炭素に対する感受性の増大は,心不全患者に,中枢性睡眠時無呼吸を誘発させることがあるかもしれない.