December 13, 2001 Vol. 345 No. 24
転移性乳癌の生存期間に対するグループ心理社会的支援の効果
The Effect of Group Psychosocial Support on Survival in Metastatic Breast Cancer
P.J. GOODWIN AND OTHERS
支持–自己表出グループ療法が,転移性乳癌の女性の生存期間を延長させることが報告されている.しかしながら,最近の研究では,各種のさまざまな心理社会的介入は生存期間を延長していない.
多施設共同試験において,少なくとも 3 ヵ月間は生存すると予想された転移性乳癌の女性 235 例を,1 週間に 1 回の支持–自己表出グループ療法に参加する介入群(158 例),またはこのような介入をまったく受けない対照群(77 例)に,2:1 の比率で無作為に割付けた.すべての女性に対して,教育用資材と,必要と考えられたあらゆる医学的あるいは心理社会的ケアが与えられた.主要転帰は生存期間であった;心理社会的機能は自己申告による質問票によって評価した.
支持–自己表出療法に割付けられた女性は,対照群の女性よりも心理学的症状の改善が大きく,疼痛の報告も少なかった(p=0.04).治療群への割付けと試験開始時の心理学的スコアに,有意な交互作用が認められた(気分を表す変数の比較において p≦0.003;疼痛の比較において p=0.04);苦悩が大きい女性では有益であったが,苦悩が少ない女性では有益ではなかった.この心理学的介入によって生存期間は延長しなかった(生存期間の中央値,介入群では 17.9 ヵ月間,対照群では 17.6 ヵ月間;単変量解析による死亡のハザード比,1.06[ 95%信頼区間,0.78~1.45 ];多変量解析によるハザード比,1.23[ 95%信頼区間,0.88~1.72 ]).
支持–自己表出グループ療法によって,転移性乳癌の女性の生存期間は延長しない.この療法は,気分および疼痛の認知を,とくに最初の時点で苦悩が強い女性において改善させる.