進行期ホジキンリンパ腫に対する罹患局所の放射線療法
Involved-Field Radiotherapy for Advanced Hodgkin's Lymphoma
B.M.P. Aleman and Others
進行期ホジキンリンパ腫に対する化学療法後に罹患局所へ放射線療法を行うことは,論議を呼んでいる.
それまでに治療を受けていない患者で,メクロルエタミン,ビンクリスチン,プロカルバジン,プレドニゾン,ドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン(MOPP-ABV)を用いた併用化学療法により完全寛解が得られた病期 III または IV のホジキンリンパ腫患者を,追加治療を行わない群と,罹患局所に放射線療法を行う群のいずれかに無作為に割付けた.放射線療法は,当初罹患していたすべてのリンパ節領域に対して 24 Gy,および当初罹患していたすべてのリンパ節外領域に対して 16~24 Gy として行った.部分寛解の患者には,リンパ節領域に 30 Gy,リンパ節外領域に 18~24 Gy を照射した.
739 例中 421 例で完全寛解が得られた;このうち 161 例は追加治療を行わない群に,172 例は罹患局所放射線療法群に割付けた.追跡調査期間の中央値は 79 ヵ月であった.5 年無病生存率は,放射線療法を受けなかった群では 84%,罹患局所放射線療法を受けた群では 79%であった(P=0.35).5 年全生存率はそれぞれ 91%,85%であった(P=0.07).化学療法で部分寛解が得られた患者 250 例の 5 年無病生存率と全生存率は,それぞれ 79%と 87%であった.
罹患局所の放射線療法は,MOPP-ABV 化学療法により完全寛解が得られた進行期ホジキンリンパ腫の患者の転帰を改善しなかった.放射線療法は,化学療法で部分寛解が得られた患者には有益である可能性がある.