December 18, 2003 Vol. 349 No. 25
全身性エリテマトーデスにおいて促進される粥状硬化症の有病率と関連因子
Prevalence and Correlates of Accelerated Atherosclerosis in Systemic Lupus Erythematosus
M.J. Roman and Others
全身性エリテマトーデス(SLE)は,若年性心筋梗塞と関連しているが,基礎疾患としての粥状硬化症の有病率,また粥状硬化と心血管疾患の従来の危険因子,SLE 関連因子との関連性は,症例対照研究で検討されていない.
SLE 患者 197 例とマッチさせた対照者 197 例を対象に,頸動脈超音波検査,心エコー検査,および心血管疾患の危険因子について評価した.また,SLE 患者は,臨床的特徴,血清学的特徴,炎症メディエータ,および疾患の治療についても評価した.
心血管疾患の危険因子は患者群と対照群でほぼ同様であった.粥状硬化症(頸動脈プラーク)は,対照群と比較して患者群で有病率が高かった(15.2% 対 37.1%,P<0.001).多変量解析では,高齢,SLE の存在(オッズ比 4.8;95%信頼区間 2.6~8.7),および血清コレステロール値の高値が独立してプラークの存在と関連していた.プラークのない患者と比較して,プラークを有する患者は,高齢で,罹患期間が長く,SLE に関連した障害が多かった.また,複数の自己抗体を有することが少ないか,プレドニゾン,シクロホスファミド,またはヒドロキシクロロキンによる治療を受けたことが少なかった.SLE 患者を含めた多変量解析では,独立したプラークの予測因子は,長い罹患期間,障害指標スコアの高値,低いシクロホスファミド使用頻度,ならびに抗 Sm 抗体が存在しないことであった.
粥状硬化症は,SLE 患者に若年で発症し,心血管疾患の従来の危険因子とは独立している.SLE と粥状硬化症を有する患者の臨床プロファイルから,疾患関連因子が粥腫形成に果す役割が示唆され,より的を絞った効果的な抗炎症治療の試験を行う必要性が強調される.