August 14, 2003 Vol. 349 No. 7
小児期または思春期に癌に罹患した生存者の精神障害による入院
Psychiatric Hospitalizations among Survivors of Cancer in Childhood or Adolescence
L. Ross and Others
小児期・思春期に癌に罹患し生存している人は,精神障害による入院のリスクが高いかどうか調査した.
デンマークの全国的な人口ベースの後ろ向きコホート研究で,1943~90 年の小児期または思春期に癌と診断され,その後 3 年以上生存し,1970 年 1 月 1 日時点で生存していたかそれ以降に出生した 3,710 例を,デンマークがん登録を用いて同定した.この集団を,デンマーク全国精神病中央登録との記録照合により,精神病による入院について,1970 年 1 月 1 日から 1993 年まで追跡調査した.症例数の期待値は,全国の精神病による入院率に基づいた.
小児期・思春期癌の生存者 3,710 例において,精神障害による入院が計 88 件あった.すべての精神障害による入院のリスクは,癌生存者のほうが一般集団に比べて高かったが,リスク超過は脳腫瘍の生存者に限られていた(精神疾患による入院症例数の実測値と期待値の比に相当する標準化入院比 [SHR],1.8;95%信頼区間 1.5~2.2).脳腫瘍の生存者では,身体・脳が原因の精神障害のリスクが高く(SHR 7.7,95%信頼区間 4.1~13.2),身体疾患が原因の精神障害のリスクが高く(SHR 5.1,95%信頼区間 2.5~9.1),統合失調症および関連疾患のリスクが高かった(SHR 2.4,95%信頼区間 1.2~4.4).大うつ病のリスクが有意に高いことを示す所見は認められなかった.
小児期・思春期癌の生存者における精神障害による入院のリスクは,脳腫瘍の生存者を除いて増加しない.