August 26, 2004 Vol. 351 No. 9
移植までのつなぎとしての全置換型人工心臓による心機能代行
Cardiac Replacement with a Total Artificial Heart as a Bridge to Transplantation
J.G. Copeland and Others
CardioWest 全置換型人工心臓は,患者本来の心室とすべての心臓弁を同所性に置換する.そのため,左心補助または両心補助人工心臓を用いた移植までのつなぎ治療でよくみられる,右心不全,弁逆流,不整脈,心室内血栓,心室内交通,血流量の低下といった問題が解消される.
過去の患者を対照群に用いて,5 施設で非無作為前向き試験を実施した.目的は,不可逆性の両心不全で差し迫った死の危険がある移植適格患者において,CardioWest 全置換型人工心臓の安全性と有効性を評価することとした.主要エンドポイントは,生存して移植を受ける割合,移植後の生存率などとした.
81例の患者が人工心臓装置を使用した.生存して移植を受けた割合は 79%であった(95%信頼区間 68~87%).同じ組み入れ基準を満たしていたが人工心臓を使用しなかった対照患者 35 例では,46%が生存して移植を受けた(P<0.001).全体で,1 年生存率は,人工心臓を使用した患者で 70%であったのに対し,対照患者では 31%であった(P<0.001).移植までのつなぎとして全置換型人工心臓を使用した患者では,1 年生存率は 86%,5 年生存率は 64%であった.
全置換型人工心臓を植込むことで,生存して移植を受ける割合と移植後の生存率が向上した.この装置により,不可逆性の両心不全で心臓移植の候補者となっている重症患者の死亡を予防することができる.