March 10, 2005 Vol. 352 No. 10
膠芽腫に対する放射線療法とテモゾロマイドの併用補助療法
Radiotherapy plus Concomitant and Adjuvant Temozolomide for Glioblastoma
R. Stupp and Others
膠芽腫は,成人でもっとも多くみられる原発性脳腫瘍であり,通常,急速に致命的となる.新たに診断された膠芽腫に対する現在の標準的な治療法は,可能な限りの外科的切除と,術後の補助放射線療法である.この試験では,放射線療法単独と,テモゾロマイド(temozolomide)を放射線療法と同時およびその後に投与する治療法について,有効性と安全性を比較した.
膠芽腫が組織学的に確認され,新たに診断された患者を,放射線療法のみを行う群(1 日 2 Gy ずつ,週 5 日を 6 週間,計 60 Gy を病巣に分割照射),または放射線療法に加えテモゾロマイドを連日投与し(1 日当り 75 mg/m2 体表面積を放射線療法の初日から最終日まで週 7 日投与),その後 6 サイクルのテモゾロマイド補助療法(150~200 mg/m2 体表面積を 5 日間,28 日サイクルで投与)を行う群のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは全生存率とした.
85 施設,計 573 例の患者を無作為化した.患者は中央値 56 歳で,84%が腫瘍減量手術を受けていた.中央値 28 ヵ月の追跡期間において,生存期間の中央値は,放射線療法+テモゾロマイド群で 14.6 ヵ月,放射線療法単独群で 12.1 ヵ月であった.放射線療法+テモゾロマイド群の死亡に対する未補正ハザード比は 0.63(95%信頼区間 0.52~0.75,log-rank 検定で P<0.001)であった.2 年生存率は,放射線療法+テモゾロマイド群で 26.5%,放射線療法単独群で 10.4%であった.放射線療法+テモゾロマイドの併用療法では,患者の 7%にグレード 3 または 4 の血液毒性が生じた.
放射線療法にテモゾロマイドを加えた治療法は,新たに診断された膠芽腫に対して,臨床的に意味のある,統計学的に有意な生存上の利益をもたらした.また,治療に伴う毒性はわずかであった.