September 15, 2005 Vol. 353 No. 11
腫瘍壊死因子 α 阻害薬に不応性の関節リウマチに対するアバタセプト
Abatacept for Rheumatoid Arthritis Refractory to Tumor Necrosis Factor α Inhibition
M.C. Genovese and Others
多くの関節リウマチ患者では,腫瘍壊死因子(TNF-α)阻害薬の効果が不十分であったり,持続しなかったりする.無作為二重盲検第 3 相試験にて,3 ヵ月以上の抗 TNF-α 療法で十分な効果が得られなかった活動性関節リウマチ患者を対象として,選択的共刺激モジュレーターであるアバタセプト(abatacept)の有効性と安全性を評価した.
抗 TNF-α 療法で十分な効果が得られなかった活動性関節リウマチ患者を,1 種類以上の疾患修飾性抗リウマチ薬投与に加え,アバタセプトまたはプラセボのいずれかを 1 日目,15 日目,29 日目に投与し,その後 6 ヵ月間は 28 日ごとに投与する群に 2:1 の割合で無作為に割付けた.抗 TNF-α 療法は,無作為化前に中止した.米国リウマチ学会(American College of Rheumatology;ACR)の基準である ACR20 改善率(20%以上の臨床的改善を意味する)と健康評価質問票(Health Assessment Questionnaire;HAQ)の機能障害指数スコアで示された機能障害改善度を評価した.
6 ヵ月後,ACR20 に達した割合は,アバタセプト群で 50.4%,プラセボ群で 19.5%であった(P<0.001).ACR50 と ACR70 に達した割合も,アバタセプト群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(それぞれ 20.3% 対 3.8%,P<0.001;10.2% 対 1.5%,P=0.003).6 ヵ月の時点では,身体機能に臨床的に意味のある改善(HAQ 機能障害指数のベースラインから 0.3 以上の改善)が認められた患者の割合は,アバタセプト群のほうがプラセボ群よりも有意に多かった(47.3% 対 23.3%,P<0.001).有害事象の発生率と注射部位周辺の有害事象の発生率は,アバタセプト群で 79.5%と 5.0%であったのに対し,プラセボ群では 71.4%と 3.0%であった.重篤な感染症の発生率は,各群とも 2.3%であった.
アバタセプトは,抗 TNF-α 療法で十分な効果が得られなかった関節リウマチ患者において,臨床的・機能的に有意な効果を示した.