全身性 AA アミロイドーシスの自然経過と転帰
Natural History and Outcome in Systemic AA Amyloidosis
H.J. Lachmann and Others
血中の急性相反応物質である血清アミロイド A 蛋白(SAA)由来のアミロイド線維の沈着は,全身性 AA アミロイドーシスの原因となる.多くの慢性炎症性疾患の重篤な合併症である AA アミロイドーシスの自然経過や治療反応性については,ほとんど知られていない.
AA アミロイドーシス患者 374 例を対象に,中央値 86 ヵ月間追跡調査を行い,臨床的特徴,臓器機能,生存期間を評価した.SAA 濃度を連続的に測定し,全身の血清アミロイド P 成分シンチグラフィを用いてアミロイド量を推定した.SAA の産生を抑えるため,炎症性疾患の治療を行った.
診断後の生存期間の中央値は 133 ヵ月で,腎機能障害が主な症状であった.死亡率,アミロイド量,腎予後はいずれも,追跡調査期間中の SAA 濃度と有意に相関した.死亡リスクは,SAA 濃度が最高八分位群(≧155 mg/L)の患者では,最低八分位群(<4 mg/L)の患者の 17.7 倍高く,八分位の下から 2 番目の群(4~9 mg/L)の患者でも,最低八分位群患者の 4 倍高かった.追跡調査期間中の SAA 濃度の中央値は,腎機能が改善した患者では 6 mg/L であり,腎機能が低下した患者では 28 mg/L であった(P<0.001).アミロイド沈着は,SAA 濃度の中央値が 10 mg/L 未満であった患者の 60%で消失し,これらの患者の生存期間は,アミロイド沈着が消失しなかった患者よりも優れていた(P=0.04).
腎機能障害の影響は AA アミロイドーシスの経過を左右し,これは SAA 濃度が低~正常域(<4 mg/L)の患者で転帰が比較的良好であることと関連している.