April 23, 2009 Vol. 360 No. 17
外科的心室再建併用・非併用下での冠動脈バイパス術
Coronary Bypass Surgery with or without Surgical Ventricular Reconstruction
R.H. Jones and Others
外科的心室再建は,冠動脈疾患が原因の心不全患者における左室容積の縮小を目的としてデザインされた手技である.われわれは,冠動脈バイパス術(CABG)に外科的心室再建を併用することで,CABG を単独で施行した場合に比べ,死亡率や心疾患による入院率が低下するかどうかを検討するための試験を実施した.
2002 年 9 月~2006 年 1 月に,駆出率 35%以下で,CABG の適応となりうる冠動脈疾患を有し,外科的心室再建の適応となりうる左室前壁の壁運動低下がみられる患者 1,000 例を,CABG 単独群(499 例)と,CABG+外科的心室再建併用群(501 例)に無作為に割り付けた.主要転帰は,あらゆる原因による死亡と心疾患による入院の複合とした.追跡期間の中央値は 48 ヵ月であった.
収縮末期容積は,外科的心室再建の併用により 19%減少したのに対し,CABG 単独での減少は 6%であった.心臓の症状と運動耐容能のベースラインからの改善は,両群で同等であった.しかし,主要転帰は CABG 単独群 292 例(59%),CABG+外科的心室再建併用群 289 例(58%)に発生し,両群間に有意差は認められなかった(併用についてハザード比 0.99,95%信頼区間 0.84~1.17,P=0.90).
CABG に外科的心室再建を併用することで,CABG を単独で施行するより左室容積は縮小した.しかし,この解剖学的変化に伴い,症状や運動耐容能がより改善するということはなく,また,死亡率や心疾患による入院率が低下するということもなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00023595)
本論文(10.1056/NEJMoa0900559)は,2009 年 3 月 29 日に NEJM.org で発表された.