December 17, 2009 Vol. 361 No. 25
年齢層別に検討した新規インフルエンザ A (H1N1)ワクチン
A Novel Influenza A(H1N1)Vaccine in Various Age Groups
F.-C. Zhu and Others
2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスに対する有効なワクチンが早急に必要とされている.
2009 H1N1 ウイルスに対する不活化スプリット候補ワクチンが製造された.無作為化臨床試験において,このワクチンの安全性と免疫原性を評価した.3~77 歳の被験者を 4 つの年齢群に層別化した.ワクチンは 21 日間隔で 2 回接種した.被験者には 7.5 μg,15 μg,30 μg の用量でプラセボまたはワクチン(アルミニウムアジュバント添加・非添加)を筋肉内注射した.血清学的分析はベースラインと,1 回目の接種後 21 日目,35 日目に行った.
2,200 例がワクチンまたはプラセボの 1 回目の接種を受け,2,103 例(95.6%)が 2 回目の接種を受けた.ワクチンに関連する重度の副作用は認められなかった.アジュバント非添加ワクチンの接種を受けた被験者では 5.5~15.9%で注射部位反応または全身反応がみられたが,そのほとんどは軽度のものであった.アジュバント非添加ワクチン 15 μg の接種を受けた被験者で,21 日目までに赤血球凝集抑制抗体価が 1:40 以上に達した被験者の割合は,3~11 歳群 74.5%,12~17 歳群 97.1%,18~60 歳群 97.1%,61 歳以上群 79.1%であった.35 日目までにこの抗体価に達した被験者の割合は,それぞれ 98.1%,100%,97.1%,93.3%であった.全体で,1:40 以上の抗体価を示した割合がもっとも高かったのは,アジュバント添加・非添加にかかわらず 30 μg を接種した被験者であった.アジュバント非添加ワクチンは,アジュバント添加ワクチンと比較して局所反応は少なく,免疫応答は大きかった.
これらのデータは,アルミニウムアジュバント非添加の赤血球凝集素抗原 15 μg の 1 回の接種により,12~60 歳の被験者の大多数において標準的な防御免疫応答が誘導されることを示している.3~11 歳の若年者層と 61 歳以上の高齢者層では,1 回目の接種後の免疫応答は比較的小さかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00975572)