脳卒中後長期に持続する上肢機能障害に対するロボット介在療法
Robot-Assisted Therapy for Long-Term Upper-Limb Impairment after Stroke
A.C. Lo and Others
脳卒中後,障害が長期に持続する患者には,効果的なリハビリテーション療法が必要とされている.
この多施設共同無作為化対照試験では,脳卒中後に中等度~重度の上肢機能障害が 6 ヵ月以上認められる患者 127 例を対象に,49 例をロボット介在集中療法群,50 例を対照集中療法群,28 例を通常ケア群に無作為に割り付けた.治療は 1 回 1 時間のセッションを 12 週間で 36 回行った.主要転帰は脳卒中後 12 週の時点での運動機能の変化とし,Fugl-Meyer 感覚運動機能評価法(Fugl-Meyer Assessment of Sensorimotor Recovery after Stroke)により測定した.副次的転帰は Wolf 運動機能検査(Wolf Motor Function Test)と脳卒中影響尺度(Stroke Impact Scale)のスコアとした.36 週の時点で治療効果の二次解析を行った.
12 週の時点で,Fugl-Meyer スコアの平均値は,ロボット介在療法群では,通常ケア群より優れており(差 2.17 点,95%信頼区間 [CI] -0.23~4.58),対照集中療法群より劣っていたが(差 -0.14 点,95% CI -2.94~2.65),有意差は認められなかった.脳卒中影響尺度の結果は,ロボット介在療法群のほうが通常ケア群より有意に優れていた(差 7.64 点,95% CI 2.03~13.24).その他の評価項目に治療群間で有意差はみられなかった.36 週の時点での二次解析では,ロボット介在療法群は,通常ケア群と比較して Fugl-Meyer スコア(差 2.88 点,95% CI 0.57~5.18)と Wolf 運動機能検査に要する時間(差 -8.10 秒,95% CI -13.61~-2.60)に有意な改善が認められたが,対照集中療法群との比較では認められなかった.重篤な有害事象の報告はなかった.
脳卒中後,上肢機能障害が長期に持続する患者にロボット介在療法を行っても,通常ケアや対照集中療法と比較して,12 週の時点での運動機能に有意な改善は認められなかった.36 週の時点での二次解析では,ロボット介在療法における転帰の改善は,通常ケアとの比較では認められたが,対照集中療法との比較では認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00372411)