December 6, 2012 Vol. 367 No. 23
テネシー州における汚染されたメチルプレドニゾロンに関連した真菌感染症
Fungal Infections Associated with Contaminated Methylprednisolone in Tennessee
M.A. Kainer and Others
単一の調剤薬局で調剤された防腐剤無添加のメチルプレドニゾロン酢酸エステルをグルココルチコイドとして,硬膜外/傍脊椎注射を受けた患者で発生した,中枢神経系真菌感染症の集団発生を調査した.
症例患者は硬膜外/傍脊椎グルココルチコイド注射後に真菌性髄膜炎,後方循環系の脳卒中,脊椎骨髄炎,硬膜外膿瘍のいずれかをきたした患者と定義した.臨床データおよび処置に関するデータを抽出した.コホート解析を実施した.
症例患者 66 例の年齢中央値は 69 歳(23~91 歳)であった.直近の硬膜外グルココルチコイド注射から症状発現までの期間の中央値は 18 日(0~56 日)であった.患者の症状は,髄膜炎のみ(73%),馬尾症候群または病巣感染(15%),髄膜炎の有無を問わず後方循環系の脳卒中(12%)であった.症状と徴候は,頭痛(患者の 73%),背部痛の出現または悪化(50%),神経症状(48%),悪心(39%),項部硬直(29%)などであった.脳卒中または病巣感染の有無を問わず髄膜炎を呈する患者では,初回腰椎穿刺での髄液中白血球数の中央値は 648 個/mm3(6~10,140 個/mm3)で顆粒球が 78%(0~97%),蛋白濃度は 114 mg/dL(29~440 mg/dL),グルコース濃度は 44 mg/dL(12~121 mg/dL)(2.5 mmol/L [0.7~6.7 mmol/L])であった.臨床検査により,22 例で Exserohilum rostratum 感染(21 例),Aspergillus fumigatus 感染(1 例)が確認された.感染症のリスクは,ロット番号 06292012@26 の製剤への曝露,バイアルがより古いこと,高用量,複数回の注射,トランスラミナーアプローチによる硬膜外グルココルチコイド注射に関連して上昇した.61 例(92%)はボリコナゾールによる治療を受け,35 例(53%)はアムホテリシン B リポソーム製剤による治療も受けた.8 例(12%)が死亡し,うち 7 例が脳卒中を発症していた.
単一の調剤薬局で調剤されたメチルプレドニゾロンを用いた硬膜外/傍脊椎グルココルチコイド注射を受けた患者で発生した,真菌性髄膜炎の集団発生について報告した.疾患を迅速に認識し,治療を速やかに開始することが,合併症を予防するうえで重要である.(テネシー州保健局および米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)