December 12, 2013 Vol. 369 No. 24
遺伝型に基づくワルファリン投与量決定に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Genotype-Guided Dosing of Warfarin
M. Pirmohamed and Others
ワルファリンの固定用量レジメンに応じて生じる抗凝固の程度を,治療開始期に予測することはむずかしい.われわれは,ワルファリン療法を開始する患者において,遺伝型に基づく投与量決定と標準的な投与量決定の,抗凝固管理に対する影響を前向き試験で比較した.
心房細動または静脈血栓塞栓症の患者を対象とする多施設共同無作為化比較対照試験を行った.ポイントオブケア検査を用いて,CYP2C9*2,CYP2C9*3,VKORC1(-1639G→A)の遺伝型決定を行った.遺伝型に基づく群に割り付けた患者に対しては,最初の 5 日間のワルファリン投与量を,薬理遺伝学に基づくアルゴリズムに基づき処方した.対照(標準的な投与量決定)群の患者に対しては,3 日間の負荷投与レジメンでの投与を行った.開始期以降は,全患者の治療をルーチンの診療方法で管理した.主要転帰指標は,ワルファリン開始後最初の 12 週間における,国際標準比(INR)が 2.0~3.0 の治療域内にあった時間の割合とした.
455 例を登録し,227 例を遺伝型に基づく群,228 例を対照群に無作為に割り付けた.治療域内時間の割合の平均は,遺伝型に基づく群では 67.4%であったのに対し,対照群では 60.3%であった(補正後の差 7.0 パーセントポイント,95%信頼区間 3.3~10.6,P<0.001).遺伝型に基づく群では,過剰な抗凝固(INR 4.0 以上)の発生が有意に少なかった.INR が治療域に達するまでの期間の中央値は,遺伝型に基づく群では 21 日であったのに対し,対照群では 29 日であった(P<0.001).
ワルファリン療法の開始期における薬理遺伝学に基づく投与量決定は,標準的な投与量決定と比較して,INR 治療域内時間の割合がより高いことに関連した.(欧州委員会第 7 次フレームワークプログラムほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01119300)