December 24, 2015 Vol. 373 No. 26
肺動脈性肺高血圧症治療のためのセレキシパグ
Selexipag for the Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension
O. Sitbon and Others
経口 IP プロスタサイクリン受容体選択的作動薬であるセレキシパグ(selexipag)は,第 2 相試験で肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療に有用であることが示された.
第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照イベント主導型試験において,PAH 患者 1,156 例を,プラセボを投与する群とセレキシパグを個別化した用量(最大用量 1,600μg 1 日 2 回)で投与する群に無作為に割り付けた.適格基準は PAH に対する治療を受けていない患者,またはエンドセリン受容体拮抗薬,ホスホジエステラーゼ 5 阻害薬のいずれかまたは両方を一定用量で投与されている患者とした.主要エンドポイントは,治療期間終了(各患者におけるセレキシパグまたはプラセボの最終投与から 7 日後)までの全死因死亡または PAH 関連合併症の複合とした.
主要エンドポイントのイベントは全体で 397 例に発生し,発生率はプラセボ群 41.6%,セレキシパグ群 27.0%であった(セレキシパグ群のプラセボ群に対するハザード比 0.60,99%信頼区間 0.46~0.78,P<0.001).疾患進行と入院がイベントの 81.9%を占めた.主要エンドポイントに関するセレキシパグの効果は,ベースラインに PAH に対する治療を受けていなかった患者のサブグループとすでに受けていた患者(エンドセリン受容体拮抗薬とホスホジエステラーゼ 5 阻害薬を併用していた患者を含む)のサブグループとで同程度であった.試験終了までに,全死因死亡はプラセボ群では 105 例,セレキシパグ群では 100 例に発生した.全体で,プラセボ群の7.1%とセレキシパグ群の 14.3%が有害事象により割り付けられたレジメンを早期に中止した.セレキシパグ群で頻度が高かった有害事象は,頭痛,下痢,悪心,顎関節痛などであり,プロスタサイクリンの既知の副作用と一致していた.
PAH 患者において,主要複合エンドポイントである死亡または PAH 関連合併症のリスクは,セレキシパグを投与した例のほうがプラセボを投与した例よりも有意に低かった.死亡率に両群で有意差は認められなかった.(Actelion Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.GRIPHON 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01106014)