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November 2, 2023 Vol. 389 No. 18

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小腸血管異形成により繰り返す出血に対するサリドマイド
Thalidomide for Recurrent Bleeding Due to Small-Intestinal Angiodysplasia

H. Chen and Others

背景

繰り返す小腸出血は消化管出血症例の 5~10%を占め,依然として治療に難渋する.サリドマイドは,小腸血管異形成(SIA)により繰り返す出血の治療薬として評価が行われてきたが,検証的試験はほとんど行われていない.

方 法

SIA により繰り返す出血の治療薬としてのサリドマイドの有効性と安全性を検討するため,多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.SIA により出血を繰り返す(出血エピソードが過去 1 年間に 4 件以上)適格患者を,サリドマイド 100 mg を 1 日 1 回経口投与する群,50 mg を 1 日 1 回経口投与する群,プラセボを投与する群に無作為に割り付け,4 ヵ月間投与した.4 ヵ月の投与期間の終了後,1 年以上患者を追跡した.主要エンドポイントは「有効な反応」とし,サリドマイド投与終了後 1 年間に発生した出血エピソードの回数が,投与前の 1 年間に発生した回数と比較して 50%以上減少することと定義した.重要な副次的エンドポイントは,再出血を伴わない出血停止,輸血,出血による入院,出血の持続期間,ヘモグロビン濃度とした.

結 果

150 例が無作為化され,51 例がサリドマイド 100 mg 群,49 例がサリドマイド 50 mg 群,50 例がプラセボ群に割り付けられた.有効な反応は,サリドマイド 100 mg 群の 68.6%,サリドマイド 50 mg 群の 51.0%,プラセボ群の 16.0%に認められた(3 群間の同時比較の P<0.001).副次的エンドポイントの解析結果は,主要エンドポイントの解析結果を支持した.有害事象の頻度は,全体的にサリドマイド群のほうがプラセボ群よりも高く,具体的には便秘,傾眠,四肢のしびれ,末梢性浮腫,浮動性めまい,肝酵素上昇などの頻度が高かった.

結 論

今回のプラセボ対照試験では,SIA により出血を繰り返す患者に対するサリドマイド投与により出血が減少した.(中国国家自然科学基金委員会,上海市教育委員会 高峰臨床医学助成支援から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02707484)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1649 - 59. )