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July 20, 2023 Vol. 389 No. 3

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乳児の B 群溶血性連鎖球菌感染症予防を目的とした母体へのワクチン接種の可能性
Potential for Maternally Administered Vaccine for Infant Group B Streptococcus

S.A. Madhi and Others

背景

新生児の血清型特異的抗莢膜多糖類(CPS)IgG は,B 群溶血性連鎖球菌感染症のリスクが低いことと相関することが自然歴研究から示されている.6 価の CPS・交差反応性物質 197 複合糖質ワクチン(GBS6)は,乳児の侵襲性 B 群溶血性連鎖球菌感染症を予防する目的で妊娠中に接種するワクチンとして開発中である.

方 法

妊娠女性を対象として現在進行中の第 2 相プラセボ対照試験で,組成の異なる 6 つの GBS6 の単回接種の安全性と免疫原性を評価し,母体から移行した抗 CPS 抗体を分析した.同じ集団で並行して行った血清疫学的研究では,新生児の侵襲性疾患のリスクが低いことと関連する血清型特異的抗 CPS IgG 濃度を生後 89 日まで評価し,防御閾値を推定した.

結 果

血清疫学的研究において,自然に獲得された抗 CPS IgG 濃度は,乳児の疾患リスクが低いことと関連していた.疾患リスクの 75~95%の低下と関連すると判定された IgG の閾値は,0.184~0.827 μg/mL であった.GBS6 に関連する安全性シグナルは,母児ともに検出されなかった.有害事象および重篤な有害事象の発現率は,母児ともに試験群全体で同程度であった.リン酸アルミニウムを添加した GBS6 の接種を受けた群では,局所反応がより多かった.児でもっとも頻度の高かった重篤な有害事象は,軽度の先天異常(臍ヘルニア,先天性真皮メラノサイトーシス)であった.GBS6 は,すべての血清型に対する母体の抗体応答を惹起し,母体と児の抗体比は用量に応じて約 0.4~1.3 であった.抗 CPS IgG 濃度が 0.184 μg/mL を超えた児の割合は血清型と組成によって異なり,もっとも免疫原性の高い組成には,児の 57~97%が血清反応を示した.

結 論

妊娠女性において,GBS6 は B 群溶血性連鎖球菌に対する抗 CPS 抗体を誘導し,その抗体は,侵襲性 B 群溶血性連鎖球菌感染症リスクが低いことと関連する濃度で乳児に移行した.(ファイザー社,ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.C1091002 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03765073)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 215 - 27. )