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August 24, 2023 Vol. 389 No. 8

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KRAS G12C 変異陽性固形腫瘍に対するディバラシブ(GDC-6036)単剤投与
Single-Agent Divarasib (GDC-6036) in Solid Tumors with a KRAS G12C Mutation

A. Sacher and Others

背景

ディバラシブ(divarasib;GDC-6036)は,高い効力と選択性をもつようにデザインされた共有結合型 KRAS G12C 阻害薬である.

方 法

第 1 相試験で,KRAS G12C 変異陽性の進行または転移性固形腫瘍患者に対するディバラシブの 1 日 1 回経口投与(用量範囲:50~400 mg)を評価した.主要目的は安全性の評価であり,薬物動態,試験担当医師が評価した抗腫瘍活性,奏効および耐性のバイオマーカーも評価した.

結 果

137 例(非小細胞肺癌 [NSCLC] 患者 60 例,大腸癌患者 55 例,その他の固形腫瘍患者 22 例)がディバラシブの投与を受けた.用量制限毒性と治療関連死は報告されなかった.治療関連有害事象は 127 例(93%)に発現し,グレード 3 の事象は 15 例(11%),グレード 4 の事象は 1 例(1%)に発現した.減量にいたった治療関連有害事象は 19 例(14%)に発現し,投与中止にいたった治療関連有害事象は 4 例(3%)に発現した.NSCLC 患者では,53.4%(95%信頼区間 [CI] 39.9~66.7)で奏効が確認され,無増悪生存期間の中央値は 13.1 ヵ月(95% CI 8.8~推定不能)であった.大腸癌患者では,29.1%(95% CI 17.6~42.9)で奏効が確認され,無増悪生存期間の中央値は 5.6 ヵ月(95% CI 4.1~8.2)であった.その他の固形腫瘍患者でも奏効が認められた.血中循環腫瘍 DNA の連続評価から,奏効に関連する KRAS G12C 変異アレル頻度の低下が示され,ディバラシブに対する耐性を付与する可能性のあるゲノム変化が同定された.

結 論

ディバラシブの投与は,KRAS G12C 陽性の各種腫瘍に臨床的奏効をもたらし,認められた有害事象の大部分は低グレードであった.(ジェネンテック社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04449874)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 710 - 21. )