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March 21, 2024 Vol. 390 No. 12

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トピラマート,バルプロ酸,ラモトリギンのいずれかへの出生前曝露による自閉症のリスク
Risk of Autism after Prenatal Topiramate, Valproate, or Lamotrigine Exposure

S. Hernández-Díaz and Others

背景

妊娠中の母体のバルプロ酸使用は,児の神経発達障害のリスク上昇との関連が示されている.ほかの抗てんかん薬に関する研究の大半では神経発達障害のリスク上昇は示されていないが,母体のトピラマート使用に伴う自閉スペクトラム症のリスクに関するデータは少なく,相反している.

方 法

米国の 2 つの人口ベースの医療利用データベースを用いて,妊娠女性とその児のコホートを同定し,2000~20 年のデータを入手した.特定の抗てんかん薬への曝露は,妊娠 19 週から出産までの処方箋の調剤に基づいて定義した.自閉スペクトラム症のリスクを,妊娠後半期にトピラマートに曝露した児と,妊娠中にいずれの抗てんかん薬にも曝露しなかった児とで比較した.バルプロ酸に曝露した児を陽性対照,ラモトリギンに曝露した児を陰性対照とした.

結 果

8 歳の時点での自閉スペクトラム症の推定累積発生率は,抗てんかん薬に曝露しなかった児全体(4,199,796 例)で 1.9%であった.てんかんを有する母親から生まれた児に限定すると,発生率は抗てんかん薬に曝露しなかった児(8,815 例)で 4.2%,トピラマートに曝露した児(1,030 例)で 6.2%,バルプロ酸に曝露した児(800 例)で 10.5%,ラモトリギンに曝露した児(4,205 例)で 4.1%であった.抗てんかん薬への曝露なしとの比較における,傾向スコアで補正したハザード比は,トピラマート曝露で 0.96(95%信頼区間 [CI] 0.56~1.65),バルプロ酸曝露で 2.67(95% CI 1.69~4.20),ラモトリギン曝露で 1.00(95% CI 0.69~1.46)であった.

結 論

自閉スペクトラム症の発生率は,今回検討した抗てんかん薬への出生前曝露があった児では,一般集団の児よりも高かった.しかし適応症およびその他の交絡因子で補正すると,トピラマートとラモトリギンでは関連が大幅に弱まり,一方バルプロ酸に伴うリスクは高いままであった.(米国国立精神衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1069 - 79. )