The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 11, 2024 Vol. 390 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

妊娠中の低用量カルシウム補充に関する 2 件の無作為化試験
Two Randomized Trials of Low-Dose Calcium Supplementation in Pregnancy

P. Dwarkanath and Others

背景

世界保健機関は,食事からのカルシウムの摂取量が低い集団の妊娠者に対して,妊娠高血圧腎症のリスクを低減させるために,1 日 1,500~2,000 mg のカルシウムを 3 回に分けて補充することを推奨している.しかし,投与計画の複雑さが実施の障壁となっている.

方 法

インドとタンザニアで,カルシウム補充に関する 2 件の独立した無作為化試験を行い,1 日量 500 mg のカルシウム補充の,1,500 mg のカルシウム補充に対する非劣性を評価した.各試験で,主要転帰は妊娠高血圧腎症と早産の 2 つとし,相対リスクの非劣性マージンはそれぞれ 1.54 と 1.16 とした.

結 果

各試験に 11,000 人の未経産の妊娠女性が組み入れられた.妊娠高血圧腎症の累積発生率は,インドの試験では 500 mg 群で 3.0%,1,500 mg 群で 3.6%であり(相対リスク 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.68~1.03),タンザニアの試験ではそれぞれ 3.0%,2.7%であり(相対リスク 1.10,95% CI 0.88~1.36),両試験とも低用量の非劣性を示した.早産での生児出生率は,インドの試験では 500 mg 群で 11.4%,1,500 mg 群で 12.8%で(相対リスク 0.89,95% CI 0.80~0.98),非劣性マージンの 1.16 以内であったが,タンザニアの試験ではそれぞれ 10.4%と 9.7%で(相対リスク 1.07,95% CI 0.95~1.21),非劣性マージンの 1.16 を超えていた.

結 論

今回の 2 試験では,低用量のカルシウム補充は,妊娠高血圧腎症のリスクに関して,高用量のカルシウム補充に対して非劣性を示した.早産での生児出生のリスクに関しては,インドでは非劣性が示されたが,タンザニアでは非劣性は示されなかった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03350516,Clinical Trials Registry–India 番号 CTRI/2018/02/012119,Tanzania Medicines and Medical Devices Authority Trials Registry 番号 TFDA0018/CTR/0010/5)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 143 - 53. )