The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 2, 2024 Vol. 390 No. 17

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

先天性血栓性血小板減少性紫斑病に対する組換え ADAMTS13
Recombinant ADAMTS13 in Congenital Thrombotic Thrombocytopenic Purpura

M. Scully and Others

背景

先天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,ADAMTS13 の重度の遺伝的欠損に起因する疾患である.先天性 TTP 患者における,通常の予防法,あるいはオンデマンド治療としての組換え ADAMTS13 の,標準療法(血漿由来製剤)と比較した有効性と安全性は不明である.

方 法

第 3 相非盲検 2 期クロスオーバー試験で,患者を,6 ヵ月間組換え ADAMTS13 の予防的投与(40 IU/kg 体重,静脈内投与)を行う群と,標準療法を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,次の 6 ヵ月間は治療を入れ替えた. その後, 全例に組換え ADAMTS13 をさらに 6 ヵ月間投与した.中間解析は,30 例以上が試験を完了した時点で実施することとした.主要転帰は急性 TTP イベントとした.TTP の症状発現,安全性,薬物動態を評価した.急性 TTP イベントが発生した患者はオンデマンド治療を受けることができた.

結 果

48 例が無作為化され,32 例が試験を完了した.組換え ADAMTS13 の予防的投与中に急性 TTP イベントは発生しなかったが,標準療法による予防中には 1 例に発生した(年間イベント発生率の平均 0.05).TTP の症状でもっとも発現頻度が高かったのは,血小板減少であった(年間イベント発生率は組換え ADAMTS13 で 0.74,標準療法で 1.73).有害事象は,組換え ADAMTS13 投与中の患者の 71%と,標準療法中の患者の 84%に発現した.試験担当医師が試験薬関連と判定した有害事象は,組換え ADAMTS13 投与中の患者の 9%と,標準療法中の患者の 48%に発現した.有害事象による試験薬の中断・中止は,組換え ADAMTS13 投与中の患者には発生せず,標準療法中の患者では 8 例に発生した.組換え ADAMTS13 による治療中に中和抗体は出現しなかった.組換え ADAMTS13 による治療後の ADAMTS13 の最大活性の平均は 101%であったのに対し,標準療法後では 19%であった.

結 論

先天性 TTP 患者において,組換え ADAMTS13 の予防的投与中,ADAMTS13 活性は正常値の約 100%に達した.有害事象の大部分は軽度または中等度であり,TTP イベントの発生や症状発現は少なかった.(米州武田開発センター,バクスアルタ イノベーションズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03393975)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1584 - 96. )