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February 1, 2024 Vol. 390 No. 5

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小児および成人に対するブタンタン研究所の 4 価弱毒生デング熱ワクチン
Live, Attenuated, Tetravalent Butantan–Dengue Vaccine in Children and Adults

E.G. Kallás and Others

背景

ブタンタン研究所のデング熱ワクチン(ブタンタン DV)は,デング熱予防を目的として現在臨床試験中の,1 回接種の 4 価弱毒生ワクチンである.全体的な有効性に関するデータが必要である.

方 法

ブラジルで現在進行中の第 3 相二重盲検試験では,参加者を年齢で層別化し(2~6 歳,7~17 歳,18~59 歳),ブタンタン DV を接種する群と,プラセボを接種する群に無作為に割り付け,5 年間の追跡を予定している.試験の目的は,ベースラインの抗体の有無にかかわらず,ワクチン接種後 29 日目以降に症状が発現し,ウイルス学的に確認された,すべての血清型のデング熱に対するワクチンの全有効率を評価すること(主要有効性エンドポイント)と,21 日目までの安全性を記述すること(主要安全性エンドポイント)であった.今回は,2 年間の追跡に基づくワクチン有効率を評価し,安全性データとして報告された接種後 21 日以内のワクチン関連有害事象を安全性として評価した.重要な副次的目的は,ベースラインのデングウイルス(DENV)抗体の有無別の有効率と,DENV の血清型別の有効率を評価することであり,年齢別の有効率も評価した.

結 果

3 年の登録期間に,16,235 人が,ブタンタン DV(10,259 人)またはプラセボ(5,976 人)の接種を受けた.2 年間のワクチンの全有効率は 79.6%(95%信頼区間 [CI] 70.0~86.3)であり,デングへの過去の曝露の所見がなかった参加者では 73.6%(95% CI 57.6~83.7),所見があった参加者では 89.2%(95% CI 77.6~95.6)であった.ワクチン有効率は,2~6 歳では 80.1%(95% CI 66.0~88.4),7~17 歳では 77.8%(95% CI 55.6~89.6),18~59 歳では 90.0%(95% CI 68.2~97.5)であった.DENV-1 に対する有効率は 89.5%(95% CI 78.7~95.0)であり,DENV-2 に対する有効率は 69.6%(95% CI 50.8~81.5)であった.追跡期間中,DENV-3 と DENV-4 は検出されなかった.安全性データとして報告された接種後 21 日以内のワクチンまたはプラセボに関連する全身性有害事象の頻度は,ブタンタン DV のほうがプラセボよりも高かった(58.3% 対 45.6%).

結 論

ブタンタン DV の 1 回接種は,ベースラインの DENV 抗体の有無にかかわらず,2 年の追跡期間中の症候性の DENV-1 感染と DENV-2 感染を予防した.(ブタンタン研究所ほかから研究助成を受けた.DEN-03-IB 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02406729,WHO ICTRP 登録番号 U1111-1168-8679)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 397 - 408. )