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February 8, 2024 Vol. 390 No. 6

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肝線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎に対するレスメチロムの第 3 相無作為化比較試験
A Phase 3, Randomized, Controlled Trial of Resmetirom in NASH with Liver Fibrosis

S.A. Harrison and Others

背景

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は進行性の肝疾患であり,承認されている治療薬はない.レスメチロム(resmetirom)は,肝指向性の経口選択的甲状腺ホルモン受容体β作動薬であり,肝線維化を伴う NASH の治療薬として開発中である.

方 法

肝生検で NASH の診断が確定し,肝線維化進展度(F0 [肝線維化なし]~F4 [肝硬変])が F1B,F2,F3 いずれかの成人患者を対象とした第 3 相試験を現在行っている(予定試験期間 54 ヵ月).患者を,レスメチロム 80 mg を 1 日 1 回投与する群,100 mg を 1 日 1 回投与する群,プラセボを投与する群に,1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.52 週の時点での主要エンドポイントは,肝線維化の進展を伴わない NASH 消失(非アルコール性脂肪性肝疾患 [NAFLD] 活動性スコア [0~8 で,数値が高いほど重症であることを示す] の 2 ポイント以上の低下など)と,NAFLD 活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化進展度の 1 以上の改善(低下)の 2 つとした.

結 果

主要解析対象集団は 966 例(レスメチロム 80 mg 群 322 例,100 mg 群 323 例,プラセボ群 321 例)であった.肝線維化の進展を伴わない NASH 消失は,レスメチロム 80 mg 群の 25.9%,100 mg 群の 29.9%で達成されたのに対し,プラセボ群では 9.7%であった(プラセボ群との両比較について P<0.001).NAFLD 活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化進展度の 1 以上の改善は,レスメチロム 80 mg 群の 24.2%,100 mg 群の 25.9%で達成されたのに対し,プラセボ群では 14.2%であった(プラセボ群との両比較について P<0.001).低比重リポ蛋白コレステロール値のベースラインから 24 週目までの変化量は,レスメチロム 80 mg 群では -13.6%,100 mg 群では -16.3%であったのに対し,プラセボ群では +0.1%であった(プラセボ群との両比較について P<0.001).下痢と悪心の頻度は,レスメチロム群のほうがプラセボ群よりも高かった.重篤な有害事象の発現率は 3 群で同程度であり,レスメチロム 80 mg 群 10.9%,100 mg 群 12.7%,プラセボ群 11.5%であった.

結 論

レスメチロムの 80 mg と 100 mg の投与はいずれも,NASH 消失と肝線維化進展度の 1 以上の改善に関して,プラセボよりも優れていた.(マドリガル ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.MAESTRO-NASH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03900429)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 497 - 509. )