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February 22, 2024 Vol. 390 No. 8

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発症後 4.5~24 時間の脳梗塞に対する灌流画像に基づくテネクテプラーゼ投与
Tenecteplase for Stroke at 4.5 to 24 Hours with Perfusion-Imaging Selection

G.W. Albers and Others

背景

テネクテプラーゼ(tenecteplase)などの血栓溶解薬は,通常,脳梗塞発症後 4.5 時間以内に使用される.4.5 時間を経過後のテネクテプラーゼ投与が利益をもたらすかどうかに関する情報は限られている.

方 法

脳梗塞患者を対象として,最終健常確認時刻から 4.5~24 時間後に行うテネクテプラーゼ投与(0.25 mg/kg 体重,最高 25 mg)と,プラセボ投与とを比較する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.中大脳動脈または内頸動脈に閉塞の所見を認め,灌流画像で救済可能な組織が確認された患者を適格とした.主要転帰は,90 日の時点での修正ランキンスケールの順序スコア(0~6 で,数値が高いほど障害が重度であることを示し,6 は死亡を示す)とした.安全性転帰は,死亡,症候性頭蓋内出血などとした.

結 果

458 例が試験に組み入れられ,228 例がテネクテプラーゼ群,230 例がプラセボ群に割り付けられた.全体の 77.3%が血栓除去術を受けた.最終健常確認時刻から無作為化までの時間の中央値は,テネクテプラーゼ群では約 12 時間,プラセボ群では約 13 時間であった.90 日の時点での修正ランキンスケールスコアの中央値は,両群とも 3 であった.90 日の時点での修正ランキンスケールスコアの分布について,テネクテプラーゼ群のプラセボ群に対する補正共通オッズ比は 1.13(95%信頼区間 0.82~1.57,P=0.45)であった.安全性解析対象集団における 90 日死亡率はテネクテプラーゼ群 19.7%,プラセボ群 18.2%であり,症候性頭蓋内出血の発生率はそれぞれ 3.2%と 2.3%であった.

結 論

脳梗塞発症後 4.5~24 時間の,中大脳動脈または内頸動脈に閉塞を認める患者にテネクテプラーゼ療法を開始しても,プラセボよりも良好な臨床転帰は得られず,患者の大部分が血管内血栓除去術を受けた.症候性頭蓋内出血の発生率は 2 群で同程度であった.(ジェネンテック社から研究助成を受けた.TIMELESS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03785678)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 701 - 11. )