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February 29, 2024 Vol. 390 No. 9

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原発性胆汁性胆管炎に対するセラデルパルの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of Seladelpar in Primary Biliary Cholangitis

G.M. Hirschfield and Others

背景

原発性胆汁性胆管炎患者に対する有効な治療は限られている.ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(PPAR-δ)作動薬セラデルパル(seladelpar)が有益である可能性がある.

方 法

12 ヵ月間の第 3 相二重盲検プラセボ対照試験で,ウルソデオキシコール酸では十分な効果が得られなかったか,許容できない副作用が発現した患者を,セラデルパル 10 mg/日を経口投与する群と,プラセボを投与する群に(2:1 の割合で)無作為に割り付けた.主要エンドポイントは生化学的奏効とし,12 ヵ月の時点のアルカリホスファターゼ(ALP)がベースラインから 15%以上低下し,正常値上限の 1.67 倍未満であることと,総ビリルビンが正常値であることと定義した.重要な副次的エンドポイントは,12 ヵ月の時点での ALP 正常化と,瘙痒数値評価スケール(NRS:0 [痒みなし]~10 [想像しうるもっとも強い痒み])のスコアがベースライン時に 4 以上(中等度~重度の瘙痒)の患者における,ベースラインから 6 ヵ月目までのスコアの変化量とした.

結 果

無作為化されて投与を受けた 193 例のうち,93.8%が標準的な基礎治療としてウルソデオキシコール酸投与を受けていた.生化学的奏効割合は,セラデルパル群のほうがプラセボ群よりも高かった(61.7% 対 20.0%,差 41.7 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 27.7~53.4,P<0.001).ALP 正常化の割合も,セラデルパルの投与を受けた患者のほうがプラセボの投与を受けた患者よりも高かった(25.0% 対 0%,差 25.0 パーセントポイント,95% CI 18.3~33.2,P<0.001).セラデルパルは,瘙痒 NRS スコアをプラセボよりも大きく低下させた(ベースラインからの変化量の最小二乗平均値 -3.2 対 -1.7,最小二乗平均差 -1.5,95% CI -2.5~-0.5,P=0.005).有害事象は,セラデルパル群の 86.7%とプラセボ群の 84.6%で報告され,重篤な有害事象はそれぞれ 7.0%と 6.2%で報告された.

結 論

原発性胆汁性胆管炎患者を対象とした今回の試験では,生化学的奏効および ALP 正常化の割合は,セラデルパルのほうがプラセボよりも有意に高かった.また,セラデルパルは,ベースライン時に中等度~重度の瘙痒を有していた患者の瘙痒を有意に軽減させた.有害事象の発現率と重症度は 2 群で同程度であった.(シーマベイ セラピューティクス社から研究助成を受けた.RESPONSE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04620733,EudraCT 登録番号 2020-004348-27)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 783 - 94. )