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March 14, 2024 Vol. 390 No. 11

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大腸癌スクリーニングに用いる次世代マルチターゲット便 DNA 検査
Next-Generation Multitarget Stool DNA Test for Colorectal Cancer Screening

T.F. Imperiale and Others

背景

次世代マルチターゲット便 DNA 検査は,DNA 分子マーカーとヘモグロビン値の評価を行う検査であり,大腸癌スクリーニングの精度,主に特異度を向上させる目的で開発された.

方 法

前向き研究において,スクリーニング大腸内視鏡検査を受ける予定の 40 歳以上の無症状の成人を対象として,次世代マルチターゲット便 DNA 検査を評価した.主要転帰は,この検査の大腸癌に対する感度と,進行新生物(大腸癌または進行前癌病変)に対する特異度とした.進行前癌病変は,1 個以上の最大径 1 cm 以上の腺腫または無茎性鋸歯状病変,組織学的に絨毛構造をもつ病変,高度異形成などとした.副次的目的は,進行前癌病変に対する感度の定量化,非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性に対する特異度の定量化,マルチターゲット便 DNA 検査と市販の免疫便潜血検査(FIT)とでの結果の比較などであった.

結 果

参加者 20,176 人のうち,98 人が大腸癌,2,144 人が進行前癌病変,6,973 人が非進行腺腫を有し,10,961 人は非腫瘍性所見を有するか大腸内視鏡検査陰性であった.次世代検査の大腸癌に対する感度は 93.9%(95%信頼区間 [CI] 87.1~97.7),進行新生物に対する特異度は 90.6%(95% CI 90.1~91.0)であった.進行前癌病変に対する感度は 43.4%(95% CI 41.3~45.6),非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性に対する特異度は 92.7%(95% CI 92.2~93.1)であった.FIT の感度は,大腸癌に対して 67.3%(95% CI 57.1~76.5),進行前癌病変に対して 23.3%(95% CI 21.5~25.2)であり,特異度は,進行新生物に対して 94.8%(95% CI 94.4~95.1),非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性に対して 95.7%(95% CI 95.3~96.1)であった.次世代検査は,FIT と比較して,大腸癌に対する感度(P<0.001)と進行前癌病変に対する感度(P<0.001)が高かったが,進行新生物に対する特異度は低かった(P<0.001).有害事象は発現しなかった.

結 論

次世代マルチターゲット便 DNA 検査は,大腸癌および進行前癌病変に対する感度が FIT よりも高いことが示されたが,特異度が低いことも示された.(エグザクト サイエンス社から研究助成を受けた.BLUE-C 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04144738)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 984 - 93. )