- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
June 16, 2005
Vol. 352 No. 24
ORIGINAL ARTICLES
-
妊娠糖尿病治療の無作為試験
Randomized Trial of the Treatment of Gestational Diabetes妊娠糖尿病に対してルーチンで行われているスクリーニングや治療は,正当であるのかどうか意見が分かれている.妊娠糖尿病治療に関するこの大規模無作為試験では,血糖コントロールを維持するために,必要に応じて食事指導,血糖値モニタリング,インスリン療法を受けた女性の子供のほうが,通常のケアを受けた女性の子供よりも,重大な周産期合併症を発症する頻度が有意に低いことが示された.
この知見は,妊娠糖尿病に対するスクリーニングおよび治療の実施を強く支持するものである. -
多発性骨髄腫に対するボルテゾミブとデキサメタゾンの比較
Bortezomib vs. Dexamethasone for Multiple Myelomaボルテゾミブは,プロテアソーム(細胞内で蛋白分解が起きる場所)の阻害薬で,進行した多発性骨髄腫に対し活性を示す.この試験では,ほかの治療では多発性骨髄腫が再発した患者を対象に,再発後比較的すぐに,ボルテゾミブと高用量デキサメタゾンを比較した.ボルテゾミブは,すべてのエンドポイントと全生存期間の延長に関して,デキサメタゾンよりも優れていた.
ボルテゾミブは,アルキル化薬やビンカアルカロイドを用いた従来の多発性骨髄腫治療からの脱却を示すものである.ボルテゾミブは,何十年ものあいだ化学療法に進歩のみられなかった多発性骨髄腫の治療薬として有望である. -
潰瘍性大腸炎と 抗 α4β7 インテグリン抗体
Ulcerative Colitis and Antibody to the α4β7 IntegrinMLN02 は,α4β7 インテグリンに対するヒト化抗体である.潰瘍性大腸炎患者を対象としたこの 6 週間の無作為試験では,MLN02 投与により,プラセボよりも高い寛解率が得られた(0.5 mg/kg 体重投与群では 33%,2.0 mg/kg 体重投与群では 32%,プラセボ群では 14%;全体の P=0.03).これらの予備的データは,ヒト化抗体を用いて α4β7 インテグリンを阻害することは,潰瘍性大腸炎に対する有効な治療法である可能性を示唆している.
BRIEF REPORT
-
狂犬病治療後の生存
Survival after Treatment for Rabies15 歳の少女が,コウモリに咬まれた 1 ヵ月後,狂犬病の症状で受診した.リバビリンとアマンタジンに加え,昏睡を誘発して突発性脳波異常を抑制する薬剤が投与された.少女は生存し,5 ヵ月後には,意識は清明でコミュニケーションも可能に なったが,全身性の舞踏病アセトーゼ,構語障害,不安定歩行が残った.
狂犬病を発症して生き残った例は非常にまれであるため,この治療レジメンの有効性については追試が必要であると考えられる.この方法の目的は,興奮毒性による神経の損傷を軽減することにある.
SPECIAL ARTICLE
-
1990~2003 年の精神障害の有病率と治療
Prevalence and Treatment of Mental Disorders, 1990 to 2003この研究は,米国で 1990~92 年および 2001~03 年に行われた家庭訪問による面接調査の結果を比較したもので,これらの期間では精神障害の有病率に変化がなかったことを明らかにしている.2001~03 年に治療率は上昇したが,精神障害を有する回答者の大半は依然として治療を受けていなかった.
CLINICAL PRACTICE
-
慢性安定狭心症
Chronic Stable Angina47 歳の男性が,この 6 ヵ月間,スカッシュをしているときに間欠的な胸部不快感があると訴えている.また,労作時にのみ胸骨下部の圧迫感と,左上腕のしびれがあるという.喫煙はしていない.男性の父親は 49 歳で突然死した.血圧は 138/84 mmHg であり,総コレステロール値は 261 mg/dL,低比重リポ蛋白コレステロール値は 172 mg/dL,高比重リポ蛋白コレステロール値は 50 mg/dL,トリグリセリド値は 113 mg/dL である.運動負荷試験は陽性で,Bruce 法のステージ 4 で胸痛と 1.5 mm の水平型 ST 低下が認められる.この患者をどのように管理すべきであろうか?
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
-
腹部に有痛性の腫瘤を有する女性
A Woman with a Painful Mass in the Abdomen45 歳の女性が,下腹部に間欠的な疼痛を伴う腫瘤があることに気付いた.診察では,右下腹部にわずかな圧痛を伴う直径 4 cm の腫瘤が認められた.画像検査では,右下腹壁に硬い腫瘤が認められた.診断検査が行われた.