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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
April 12, 2007
Vol. 356 No. 15
ORIGINAL ARTICLE
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安定冠動脈疾患に対する PCI 併用の至適内科治療と非併用の至適内科治療の比較
Optimal Medical Therapy with or without PCI for Stable Coronary Disease無作為化試験を行い,虚血の所見が認められた冠動脈疾患患者 2,287 例を,至適内科治療に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を併用する群と至適内科治療のみを行う群に割り付けた.中央値 4.6 年の時点で,死亡と心筋梗塞の発生率は,PCI 群で 19.0%,内科治療群で 18.5%であった.PCI 群では,狭心症の発生率と血行再建術の再施行率が低かった.
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2 型糖尿病に対するインターロイキン-1 受容体拮抗薬
Interleukin-1-Receptor Antagonist in Type 2 Diabetes Mellitus2 型糖尿病患者の膵島ではインターロイキン-1 受容体拮抗物質の発現が低下しており,ヒト膵 β 細胞ではグルコース濃度の上昇によりインターロイキン-1β 産生が誘導されることから,インターロイキン-1 経路が治療標的となる可能性が示唆される.この無作為化試験では,インターロイキン-1 受容体拮抗薬アナキンラ(100 mg)により,プラセボと比較して,血糖異常と β 細胞分泌機能が改善し,全身性炎症マーカーが減少することが示された.
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高齢者の神経膠芽腫に対する放射線療法
Radiotherapy for Glioblastoma in the Elderlyこの試験では,70 歳以上の神経膠芽腫患者を対象として,放射線療法+支持療法と支持療法単独とを比較した.放射線療法により,支持療法単独に比べ,生存期間が約 3 ヵ月改善し,QOL や認知機能は低減しなかった.また,この試験では,いくつかの課題はあるものの,高齢患者が無作為化比較試験に参加できることが示された.
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キューバにおける不活化ポリオウイルスワクチン
Inactivated Poliovirus Vaccine in Cuba熱帯の発展途上国では,不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)の免疫原性に関するデータは限られている.経口ポリオウイルスワクチンの使用が減少するにつれ,IPV がこれらの国々で有効であることを実証するデータが必要となる.このキューバで行われた IPV の無作為化比較試験は,IPV が免疫原性をもち,経口ポリオウイルスワクチン投与後の便中への経口ポリオウイルスの排泄を減少させることを示している.
MEDICAL PROGRESS
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より安全な肝臓手術と部分肝移植
Safer Liver Surgery and Partial Liver Transplantation肝臓には短期間で再生するという特有の性質があり,この特性をもとに肝臓手術と肝移植において画期的な戦略が開発されている.この総説では,肝臓の体積をコントロールすることで肝臓手術と肝移植を改善させるための,従来の方法と新しい方法を示している.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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頸部痛,腕の筋力低下,脳神経麻痺を呈する 59 歳の男性
A 59-Year-Old Man with Neck Pain, Weakness in the Arms, and Cranial-Nerve Palsies59 歳の男性が,発熱し,多発性脳神経麻痺を含む進行性の神経学的症状を亜急性に発症したため入院した.脳脊椎 MRI では,クモ膜下の強調像が認められた.脳脊髄液の分析で,リンパ球の増加と,蛋白濃度およびグルコース濃度の上昇が明らかになった.男性は呼吸不全を呈し,気管内挿管および人工換気が必要となった.診断検査の結果が得られた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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網膜の再建
Repairing the Retinaドナーからの視細胞前駆細胞を移植前に分化させることが,網膜への生着を成功させる鍵である.