December 19, 2002 Vol. 347 No. 25
維持透析における透析量と膜流量の影響
Effect of Dialysis Dose and Membrane Flux in Maintenance Hemodialysis
G. EKNOYAN AND OTHERS
透析量とダイアライザー膜の流量レベルが,維持透析を受けている患者の死亡率と罹患率に与える影響は明らかではない.
標準的透析量または高透析量で,低流量または高流量のダイアライザーに患者を無作為に割付けるため 2×2 因子のデザインを用いて,週 3 回透析を受けている患者 1,846 例を対象とした無作為臨床試験を実施した.
標準的透析量群において,平均(±SD)の尿素除去率は 66.3±2.5%,single-pool Kt/V は 1.32±0.09,平衡 Kt/V は 1.16±0.08 であり,高透析量群では,値はそれぞれ 75.2±2.5%,1.71±0.11,1.53±0.09 であった.β2-ミクログロブリンクリアランスをもとに評価した流量は,低流量群では 3±7 mL/分であり,高流量群では 34±11 mL/分であった.主要転帰である全死因死亡は,透析量や流量の割付けによっては有意な影響を受けなかった:標準的透析量群と比較した高透析量群における死亡の相対リスクは 0.96 であり(95%信頼区間 0.84~1.10;P=0.53),低流量群と比較した高流量群における死亡の相対リスクは 0.92 であった(95%信頼区間 0.81~1.05;P=0.23).主な副次的転帰(心疾患による初回入院または全死因死亡,感染による初回入院または全死因死亡,血清アルブミン値の初回の 15%低下または全死因死亡,および,循環系と関連しない全入院)も,透析量群や流量群間において有意な差はなかった.透析量や流量の介入に利点がある可能性は,事前に定義した 7 つの患者サブグループのうち,2 つにおいて示唆された.
血液透析を週 3 回受けている患者は,現在の米国の指針で推奨されている透析量よりも高い透析量や高流量膜の使用からは,大きな利益を受けないと思われる.