December 19, 2002 Vol. 347 No. 25
侵襲性カンジダ症におけるカスポファンギンとアムホテリシン B の比較
Comparison of Caspofungin and Amphotericin B for Invasive Candidiasis
J. MORA-DUARTE AND OTHERS
カスポファンギン(caspofungin)は,カンジダ種に対し,殺真菌作用を有するエキノカンジン(echinocandin)系の薬剤である.われわれは,二重盲検試験を行い,侵襲性カンジダ症の一次治療における,カスポファンギンとデオキシコール酸アムホテリシン B を比較した.
感染の臨床徴候があり,血液または他の部位からカンジダ種に対する培養で陽性を示した患者を組み入れた.患者は,APACHE II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation,急性生理異常・慢性度による重症度評価)スコアにより示された疾患の重症度と好中球減少症の有無に従って層別化され,カスポファンギンまたはアムホテリシン B のいずれかに無作為に割付けられた.試験は,侵襲性カンジダ症患者とカンジダ血症患者のサブグループにおいて,カスポファンギンとアムホテリシン B の有効性を比較するようにデザインされた.
試験に組み入れられた患者 239 例のうち,224 例は,修正 intention-to-treat 解析に組み込まれた.好中球減少症患者の割合と平均 APACHE II スコアを含む開始時の特性は,両治療群で同程度であった.修正 intention-to-treat 解析では,カスポファンギンの有効性は,アムホテリシン B の有効性と同様で,良好な転帰を示したのは,カスポファンギン群患者では,73.4%であり,アムホテリシン B 群患者では,61.7%であった(APACHE II スコアと好中球減少症の状態で補正後の差12.7 パーセントポイント;95.6%信頼区間 -0.7~26.0).事前に設定した評価基準を満たした患者の解析では,カスポファンギンがより優れており,良好な反応を示した患者は 80.7%であったのに対し,アムホテリシン B では 64.9%であった(差 15.4 パーセントポイント;95.6%信頼区間 1.1~29.7).カスポファンギンは,カンジダ血症患者においてアムホテリシン B と同程度有効であり,それぞれ患者の 71.7%と 62.8%で良好な反応を示した(差 10.0 パーセントポイント;95.0%信頼区間 -4.5~24.5).カスポファンギン群においてはアムホテリシン B 群よりも薬剤に関連した有害事象が有意に少なかった.
カスポファンギンは,侵襲性カンジダ症,とくにカンジダ血症の治療に対して,少なくともアムホテリシン B と同程度に有効である.