December 4, 2008 Vol. 359 No. 23
進行 C 型慢性肝炎に対する低用量ペグインターフェロンを用いた長期療法
Prolonged Therapy of Advanced Chronic Hepatitis C with Low-Dose Peginterferon
A.M. Di Bisceglie and Others
C 型慢性肝炎で抗ウイルス療法に反応しない患者では,疾患が肝硬変,肝不全,肝細胞癌,死亡へと進展する可能性がある.抗ウイルス療法を長期に行うことで,このような患者の肝疾患の進展を阻止することができるのかどうかは,まだ明らかにされていない.
過去にペグインターフェロン+リバビリン併用療法に反応しなかった,線維化の進展した C 型慢性肝炎患者 1,050 例を対象として,3.5 年にわたりペグインターフェロン α-2a 90 μg/週の維持療法を行う群と,治療を行わない群を比較する無作為化比較試験を実施した.線維化の程度により患者を層別し(肝硬変を伴わない例 622 例,肝硬変を伴う例 428 例),3 ヵ月ごとに診察を行い,無作為化の 1.5 年後と 3.5 年後に肝生検を施行した.主要エンドポイントは,死亡,肝細胞癌,非代償性肝硬変によって示される肝疾患の進展とし,ベースラインで架橋線維化がみられた患者については,Ishak 線維化スコアの 2 ポイント以上の上昇とした.
517 例を 3.5 年にわたりペグインターフェロンを投与する群に,533 例を無治療群に無作為に割り付けた.血清アミノトランスフェラーゼ値,血清中 C 型肝炎ウイルス RNA 量,組織学的壊死・炎症スコアは,いずれもペグインターフェロン投与群で有意に減少したが(P<0.001),主要転帰の発生率には両群間で有意差は認められなかった(投与群 34.1% 対 無治療群 33.8%,ハザード比 1.01,95%信頼区間 0.81~1.27,P=0.90).重篤な有害事象が 1 件以上認められた患者の割合は,投与群で 38.6%,無治療群で 31.8%であった(P=0.07).
C 型慢性肝炎で線維化が進展しており,ペグインターフェロン+リバビリンの初回治療に反応しなかった患者では,肝硬変の有無にかかわらず,ペグインターフェロン投与を長期に行っても疾患が進展する割合は低下しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00006164)