October 10, 2013 Vol. 369 No. 15
症候性静脈血栓塞栓症治療におけるエドキサバンとワルファリンとの比較
Edoxaban versus Warfarin for the Treatment of Symptomatic Venous Thromboembolism
The Hokusai-VTE Investigators
静脈血栓塞栓症患者において,経口第 Xa 因子阻害薬エドキサバンがワルファリンの代替となりうるかどうかは不明である.
無作為化二重盲検非劣性試験において,最初にヘパリンを投与した急性静脈血栓塞栓症患者を,エドキサバン 60 mg または 30 mg(たとえばクレアチニンクリアランス 30~50 mL/分または体重 60 kg 以下の患者の場合)を 1 日 1 回投与する群と,ワルファリンを投与する群に無作為に割り付けた.患者は 3~12 ヵ月間試験薬の投与を受けた.主要有効性転帰は症候性静脈血栓塞栓症の再発とした.主な安全性転帰は,重大な出血または重大ではないが臨床的に意義のある出血とした.
4,921 例が深部静脈血栓症,3,319 例が肺塞栓症で受診した.ワルファリン群では,INR が治療域にあった時間の割合は 63.5%であった.主要有効性転帰はエドキサバン群 130 例(3.2%)とワルファリン群 146 例(3.5%)に発生し,主要有効性転帰に関してワルファリンに対するエドキサバンの非劣性が示された(ハザード比 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.70~1.13,非劣性の P<0.001).安全性転帰は,エドキサバン群 349 例(8.5%)とワルファリン群 423 例(10.3%)に発生した(ハザード比 0.81,95% CI 0.71~0.94,優越性の P=0.004).その他の有害事象の発生率は 2 群で同程度であった.脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント測定により,肺塞栓症患者の 938 例に右室機能不全が認められた.このサブグループにおける静脈血栓塞栓症の再発率は,エドキサバン群 3.3%,ワルファリン群 6.2%であった(ハザード比 0.52,95% CI 0.28~0.98).
重症肺塞栓症を含む,さまざまな静脈血栓塞栓症患者において,ヘパリンによる初回治療後のエドキサバン 1 日 1 回投与は,質の高い標準治療に対して非劣性であり,出血は有意に少なかった.(Daiichi-Sankyo 社から研究助成を受けた.Hokusai-VTE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00986154)