October 10, 2013 Vol. 369 No. 15
南アフリカで播種性感染を引き起こしている二形性真菌
A Dimorphic Fungus Causing Disseminated Infection in South Africa
C. Kenyon and Others
エモンシア属には,ヒト疾患に関連する種が 3 種ある.Emmonsia crescens と Emmonsia parva はアジアスピロミコーシスを引き起こす病原体であり,Emmonsia pasteuriana のヒト感染例は 1 例報告されている.われわれは,南アフリカのヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染成人に認められる,E. pasteuriana にもっとも近縁なエモンシア属内の真菌病原体を報告する.
2008 年 7 月~2011 年 7 月に,南アフリカ・ケープタウンのグルートシューア病院およびその他のケープタウン大学の関連病院を受診した患者を対象として,全身性二形性真菌感染症の原因を同定する目的で強化サーベイランスを実施した.DNA 配列決定を用いて病原性真菌を同定した.
二形性真菌感染症は 24 例診断され,うち 13 例がエモンシア属の 1 種に起因していた.13 例は全例が HIV 感染者であり,CD4+T 細胞数中央値は 16/mm3(四分位範囲 10~44)で,全例に播種性真菌症の所見が認められた.3 例は受診後まもなく死亡したが,それ以外は種々の抗真菌薬と抗レトロウイルス療法に良好に反応した.5 つの遺伝子(LSU,ITS1-2 と,アクチン,β-チューブリン,インテイン PRP8 をコードする遺伝子)の系統解析により,この真菌はエモンシア属に属し,E. pasteuriana にもっとも近縁であることが明らかになった.
エモンシア種のこれらの分離株は,ヒトに対して病原性をもつ新種の二形性真菌であることが示唆された.この菌種が,ケープタウンにおける感染の重要な原因の一つであると考えられる.