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December 14, 2023 Vol. 389 No. 24

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非糖尿病の肥満におけるセマグルチドと心血管転帰
Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes

A.M. Lincoff and Others

背景

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドは,糖尿病患者における有害心血管イベントのリスクを低下させることが示されている.セマグルチドが,糖尿病のない状態での,過体重または肥満に伴う心血管リスクを低下させることができるかどうかは明らかでない.

方 法

多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型優越性試験で,既存の心血管疾患があり,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)が 27 以上であるが,糖尿病のない 45 歳以上の患者を組み入れた.患者を,セマグルチド 2.4 mg を週 1 回皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要心血管エンドポイントは,生存時間(time-to-first-event)解析における心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合とした.安全性も評価した.

結 果

17,604 例が組み入れられ,8,803 例がセマグルチド群,8,801 例がプラセボ群に割り付けられた.セマグルチドまたはプラセボへの平均曝露期間(±SD)は 34.2±13.7 ヵ月,平均追跡期間は 39.8±9.4 ヵ月であった.主要心血管エンドポイントのイベントは,セマグルチド群では 8,803 例中 569 例(6.5%)に発生し,プラセボ群では 8,801 例中 701 例(8.0%)に発生した(ハザード比 0.80,95%信頼区間 0.72~0.90,P<0.001).試験薬の中止にいたった有害事象は,セマグルチド群では 1,461 例(16.6%)に発現し,プラセボ群では 718 例(8.2%)に発現した(P<0.001).

結 論

既存の心血管疾患があり,過体重または肥満であるが糖尿病のない患者において,セマグルチド 2.4 mg の週 1 回皮下投与は,平均追跡期間 39.8 ヵ月の時点での心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の発生率の低下に関して,プラセボに対する優越性を示した.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.SELECT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03574597)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2221 - 32. )