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December 14, 2023 Vol. 389 No. 24

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高齢者における mRNA ベースの RSV preF ワクチンの有効性と安全性
Efficacy and Safety of an mRNA-Based RSV PreF Vaccine in Older Adults

E. Wilson and Others

背景

RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)は,高齢者に重い合併症と死亡を引き起こす可能性がある.mRNA-1345 は,安定化させた RSV 融合前 F 糖蛋白をコードする mRNA ベースの RSV ワクチンであり,現在臨床的検討が行われている.

方 法

現在進行中の無作為化二重盲検プラセボ対照第 2・3 相試験で,60 歳以上の成人を,mRNA-1345(50 μg)を単回接種する群と,プラセボを接種する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,2 つ以上の徴候・症状を伴う RSV 関連下気道疾患の予防と,3 つ以上の徴候・症状を伴う RSV 関連下気道疾患の予防の 2 つとした.RSV 関連急性呼吸器疾患の予防を重要な副次的有効性エンドポイントとした.安全性も評価した.

結 果

全体で,35,541 例の参加者が,mRNA-1345 ワクチン群(17,793 例)とプラセボ群(17,748 例)に割り付けられた.追跡期間の中央値は 112 日(範囲 1~379 日)であった.主要解析は,予想された RSV 関連下気道疾患症例数の 50%以上が発生した時点で行った.ワクチン有効率は,2 つ以上の徴候・症状を伴う RSV 関連下気道疾患に対しては 83.7%(95.88%信頼区間 [CI] 66.0~92.2),3 つ以上の徴候・症状を伴う RSV 関連下気道疾患に対しては 82.4%(96.36% CI 34.8~95.3)であった.RSV 関連急性呼吸器疾患に対するワクチン有効率は 68.4%(95% CI 50.9~79.7)であった.防御効果は,RSV の両サブタイプ(A 型,B 型)に対して観察され,年齢別,併存疾患の有無別のサブグループ全体でおおむね一致していた.mRNA-1345 群の参加者は,プラセボ群の参加者よりも,安全性データとして収集した局所反応の発現率(58.7% 対 16.2%)と,全身反応の発現率(47.7% 対 32.9%)が高かった.副反応の大部分は軽度~中等度で,一過性であった.重篤な有害事象は各群の参加者の 2.8%に発現した.

結 論

60 歳以上の成人に対する mRNA-1345 ワクチンの単回接種により,明らかな安全性の懸念は示されず,RSV 関連下気道疾患と RSV 関連急性呼吸器疾患の発生率がプラセボよりも低くなった.(モデルナ社から研究助成を受けた.ConquerRSV 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05127434)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2233 - 44. )