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January 18, 2024 Vol. 390 No. 3

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成人の軽症~中等症 Covid-19 患者に対する経口シムノトレルビル
Oral Simnotrelvir for Adult Patients with Mild-to-Moderate Covid-19

B. Cao and Others

背景

経口 3-キモトリプシン様プロテアーゼ阻害薬であるシムノトレルビル(simnotrelvir)は,in vitro で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する活性を示し,第 1b 相試験において,有効である可能性があることが明らかにされている.

方 法

第 2・3 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を有し,症状発現後 3 日以内の患者を,シムノトレルビル 750 mg+リトナビル 100 mg を 1 日 2 回,5 日間投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要有効性エンドポイントは持続的な症状消失までの時間とし,11 の Covid-19 関連症状が 2 日連続で認められないことと定義した.安全性とウイルス量の変化も評価した.

結 果

中国の 35 施設で 1,208 例が登録され,603 例がシムノトレルビル群,605 例がプラセボ群に割り付けられた.試験薬またはプラセボの初回投与を,症状発現後 72 時間以内に受けた患者と定義した修正 intention-to-treat–1 集団では,持続的な Covid-19 症状消失までの時間は,シムノトレルビル群のほうがプラセボ群よりも有意に短かった(180.1 時間 [95%信頼区間 {CI} 162.1~201.6] 対 216.0 時間 [95% CI 203.4~228.1],差の中央値 -35.8 時間 [95% CI -60.1~-12.4],Peto–Prentice 検定で P=0.006).5 日の時点で,ウイルス量のベースラインからの減少は,シムノトレルビル群のほうがプラセボ群よりも大きかった(平均 [±SE] 差 -1.51±0.14 log10 コピー/mL,95% CI -1.79~-1.24).投与中の有害事象の発現率は,シムノトレルビル群のほうがプラセボ群よりも高かった(29.0% 対 21.6%).有害事象の大部分は軽度または中等度であった.

結 論

成人の Covid-19 患者において,シムノトレルビル+リトナビルの早期投与により,症状消失までの時間が短縮され,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(江蘇シムセア ファーマシューティカル社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05506176)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 230 - 41. )