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February 1, 2024 Vol. 390 No. 5

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ニーマン–ピック病 C 型に対する N-アセチル-L-ロイシンの試験
Trial of N-Acetyl-L-Leucine in Niemann–Pick Disease Type C

T. Bremova-Ertl and Others

背景

ニーマン–ピック病 C 型はまれなリソソーム蓄積症である.その治療薬として,リソソームと代謝の機能障害を改善する可能性のある薬剤,N-アセチル-L-ロイシン(NALL)の安全性と有効性を評価した.

方 法

二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で,4 歳以上の,遺伝学的に確認されたニーマン–ピック病 C 型患者を,NALL を 12 週間投与し,その後プラセボを 12 週間投与する群と,プラセボを 12 週間投与し,その後 NALL を 12 週間投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.NALL またはマッチさせたプラセボは,1 日 2~3 回経口投与し,4~12 歳の患者には体重に基づく用量(2~4 g/日)を投与し,13 歳以上の患者には 4 g/日を投与した.主要エンドポイントは,運動失調評価尺度(SARA;0~40 で,数値が低いほど神経学的状態が良好であることを示す)の合計スコアとした.副次的エンドポイントは,臨床全般印象–改善度(CGI-I)のスコア,脊髄小脳失調症機能指標(SCAFI)のスコア,修正障害評価尺度(mDRS)のスコアなどとした.各 12 週間の 2 つの投与期間に得られた各群のクロスオーバーデータを,NALL とプラセボの比較に含めた.

結 果

5~67 歳の患者 60 例が組み入れられた.主要解析に用いたベースラインの SARA の合計スコアの平均は,NALL 初回投与前(60 例)で 15.88,プラセボ初回投与前(59 例,1 例はプラセボ投与を 1 回も受けなかった)で 15.68 であった.SARA の合計スコアのベースラインからの変化量の平均(±SD)は,12 週間の NALL 投与後で -1.97±2.43 ポイント,12 週間のプラセボ投与後で -0.60±2.39 ポイントであった(最小二乗平均差 -1.28 ポイント,95%信頼区間 -1.91~-0.65,P<0.001).副次的エンドポイントの結果は,大部分が主要解析の結果を支持したが,多重比較の補正は行わなかった.有害事象の発現率は NALL とプラセボとで同程度であり,重篤な治療関連有害事象は発現しなかった.

結 論

ニーマン–ピック病 C 型患者において,NALL を 12 週間投与したあとの神経学的状態は,プラセボを投与したあとの神経学的状態よりも良好であった.ニーマン–ピック病 C 型患者における NALL の長期効果を明らかにするためには,さらに長期の検討が必要である.(イントラバイオ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05163288,EudraCT 登録番号 2021-005356-10)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 421 - 31. )