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February 1, 2024 Vol. 390 No. 5

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遺伝性血管性浮腫に対する KLKB1 の CRISPR-Cas9 による生体内遺伝子編集
CRISPR-Cas9 In Vivo Gene Editing of KLKB1 for Hereditary Angioedema

H.J. Longhurst and Others

背景

遺伝性血管性浮腫はまれな遺伝性疾患であり,重度の予測不能な浮腫発作を引き起こす.NTLA-2002 は,クラスター化された,規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)–CRISPR 関連蛋白質 9 に基づく生体内遺伝子編集療法である.NTLA-2002 は,カリクレイン B1 をコードする遺伝子(KLKB1)を標的とする治療法で,その目標は,単回投与で血管性浮腫の発作を生涯コントロールすることである.

方 法

遺伝性血管性浮腫の成人を対象とした NTLA-2002 の第 1・2 相試験の第 1 相用量漸増パートで,NTLA-2002 を 25 mg,50 mg,75 mg のいずれかの用量で単回投与した.主要エンドポイントは,NTLA-2002 療法の安全性と副作用プロファイルとした.副次的エンドポイント,探索的エンドポイントは,薬物動態,薬力学,試験担当医師が確認した血管性浮腫の発作に基づく臨床的有効性などとした.

結 果

3 例が 25 mg,4 例が 50 mg,3 例が 75 mg の NTLA-2002 投与を受けた.すべての用量で頻度の高かった有害事象は,注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)と疲労であった.NTLA-2002 の投与後,用量制限毒性,重篤な有害事象,グレード 3 以上の有害事象,臨床的に重要な臨床検査所見は観察されなかった.ベースライン時の評価と最新の評価とのあいだで,血漿総カリクレイン濃度の用量依存的な減少が観察され,変化(%)の平均は,25 mg 群で -67%,50 mg 群で -84%,75 mg 群で -95%であった.1 ヵ月あたりの血管性浮腫発作回数のベースラインと 1~16 週目(主要観察期間)との変化(%)の平均は,25 mg 群で -91%,50 mg 群で -97%,75 mg 群で -80%であった.すべての患者における,1 ヵ月あたりの血管性浮腫発作回数のベースライン時の評価から最新の評価までの変化の平均は,-95%であった.

結 論

今回の小規模試験では,NTLA-2002 の単回投与により,血漿総カリクレイン濃度に,確固たる,用量依存的,永続的な減少が生じ,重度の有害事象は観察されなかった.探索的解析では,3 つの用量すべてにおいて,1 ヵ月あたりの血管性浮腫発作回数の減少が観察された.(インテリア セラピューティクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05120830)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 432 - 41. )