The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

April 23, 1998 Vol. 338 No. 17

原発性深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症後の癌診断のリスク
THE RISK OF A DIAGNOSIS OF CANCER AFTER PRIMARY DEEP VENOUS THROMBOSIS OR PULMONARY EMBOLISM

H.T. SφRENSEN, L. MELLEMKJÆR, F.H. STEFFENSEN, J.H. OLSEN, AND G.L. NEILSEN

背景

 いくつかの小規模試験では,深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症とその後の癌診断との関連が示されているが,この問題は議論が分かれている.

方 法

 われわれは,1977 ~ 92 年のあいだにデンマーク全国患者登録から得た深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症患者のコホートに関する全国的な調査を実施した.このコホートにおける癌の発生率をデンマーク癌登録書との関連によって決定した.癌症例の予測数は全国での年齢,性別,そして部位特異的発生率に基づき推定した.

結 果

 深部静脈血栓症患者延べ 15,348 人と肺動脈塞栓症患者 11,305 人を確認した.深部静脈血栓症のコホートでは癌 1,737 例を認め,これに対し予測症例は 1,372 例 (標準発生比,1.3; 95%信頼区間,1.21 ~ 1.33 ) であった.肺動脈塞栓症患者では,標準発生比は 1.3 で,95%信頼区間は 1.22 ~ 1.41 であった.リスクは,追跡調査の最初の6 ヵ月間に限ってかなり上昇し,その後急速に低下して,血栓イベント後 1 年では1.0 をわずかに上回る一定レベルとなった.血栓塞栓症のために入院後 1 年以内に癌と診断された患者の 40%が,癌の診断時に遠隔転移を示していた.いくつかの癌と強い関連を認め,もっとも顕著な癌は膵臓,卵巣,肝臓 (原発性肝癌) および脳であった.

結 論

 原発性深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症患者において,潜在癌に対する積極的な探索は推奨できない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1169 - 73. )